「躊躇せずに「毒親」と絶縁するべき本質理由 一方的に負担を強いる関係は親子でもアウト

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そして「家」よりも「個人」が重視される時代にあっては、家族がもめていても、さほど個人的な付き合いには影響しなくなりました。過度に敏感にならないほうが、自然に振る舞えるものです。

一方が極端に性格が悪いか欲深いなどの理由で、家族と仲良くやっていく意思のない人は確かにいます。このような人が引き起こす家族間のトラブルは、独りよがりか因縁をつけているに等しいことが多く、ゆえに話し合いや説得で改善するのはほぼ無理なのです。だからこそ付き合わされるほうはひどい場合は、付き合うだけでストレスが高じ、心身を壊す事態になるのです。

ところで昨今、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」式に、家族の不和をオープンに話す人が増えてきたと感じます。「家族仲は悪かった、それがどうした」式の私小説やエッセイも、受けています。

家族仲が悪いという理由で交際を避ける人がいれば、こちらから願い下げるくらいの構えでいいと思います。無理に隠すほうが、ほころびが出るものです。

真剣に付き合う人や、結婚を考えている人には、親の恥をさらすとは考えず、詳しく説明するほうが誠実だと思います。あいまいにすると、あとで誤解のもとになったりだまされたともめる場合があるからです。

小さなウソを端緒に大きく発展するトラブルは、数えればきりがありません。それであなたまで面倒がられるか、あなたをより理解してくれるかは、相手次第です。

犬猿の仲だった親子が和解するケースもある

志賀直哉は『和解』で、父親とそりが合わず、険悪な状態が続いた著者が、父親と和解していった過程を詳しく描いています。絶対に和解はありえないと思えた親子でしたが、和解した後の当人や周囲の喜びは、尋常ではありませんでした。

私も実際に、何年にもわたり犬猿の仲だった親子や兄弟が和解した事例を、いくつも見てきました。年を取ると、自分ファーストだった人でも、肉親を求めるようになるのは珍しいことではありません。他者の仲介などで肉親の情が復活するのですが、それはいつも他人目線でも、理屈を超えた感動的なものでした。

というわけで、肉親でも他人同士でも、仲が良いことは何かにつけていいことずくめです。それであなたも、「今は絶交するが、状況次第ではいつでも受け入れる」という構えのほうが気が楽になり、将来も柔軟な対応ができるのではないでしょうか。

最後に再び、ご質問への回答を強調します。一方が大きな犠牲を強いられる仲なら、たとえ親子でも無理する必要はまったくありません。他方で、信頼するパートナーには下手に隠さずオープンに伝えることが大切、ということをお伝えしたいと思います。

ミセス・パンプキン 『最強の人生相談』『一流の育て方』著者

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立命館大学卒業。ビジネスパーソン向けの家庭問題・人間関係・人生相談の専門家として、東洋経済オンラインで2012年より執筆。最新刊は『最強の人生相談』(東洋経済新報社)。息子であり、『最強の働き方』(東洋経済新報社)の著者であるムーギー・キム氏との共著に、『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』(ダイヤモンド社)がある。ミセス・パンプキンへの相談は、こちらのメール、あるいは相談受付サイトで受け付けています。なお相談件数多数につき、過去に類似する相談があった場合には取り扱いません。ぜひ、これまでの連載をご参照ください。男性からのご相談も歓迎しております!

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