「女子」と「おじさん」が示す日本人の思考停止 意味もなく濫用されすぎていないか
山田:風が吹くと桶屋が儲かる的な、連鎖が発生するという。
スー:そうです。私は運がいいことに、女でいることで怖かったり嫌な思いをしたことってあまりないんですけど、それでもウヘェとなることはあります。何年か前にマンションの入り口で女友達と話してたら、自転車に乗った50代くらいのおじさんが急に寄ってきて、女友達の耳元で「うわぁー」って大声出して逃げてったんです。これ、私たちが男だったら絶対に起こらない出来事だと思いますし、見ず知らずの女相手にそういうことをするおじさんの人生が、うまくいってるわけがないとも思ったんです。
男性がやみくもにたたかれる世の中になったとき、最終的にしわ寄せがくるのは猫と子どもと女なんではないかと。ゴールはあくまで女性と男性が対等になることで、社会的に弱い男性がよりたたかれる世の中になってはいけないと思います。
おばさんという称号をついに手に入れた
山田:じゃあ、僕たちも軽くバカにされたようなおじさんいじりをされた場合は、そのままヘラヘラとのみ込まないほうがいいんですね―。その場で逐一是正していかないと駄目なのかもしれない。
スー:娘さんの顔を思い浮かべるといいんじゃないですか。極端な話をすると、テレビでおじさんいじりを観た人が同じように身近なおじさんをいじって、それで嫌な思いしたおじさんが、翌日見ず知らずの小学生の頭を小突くとかっていう連鎖が起こりうると思うんです。もちろん小突いたおじさんがいちばん悪いけど、その人も「おじさん」というだけで嫌な思いをする必要はない。
山田:いつか自分の娘に、安易なおじさんイジりのしわ寄せが……それは嫌です。やっぱり、まず自分が、おじさんに軽々しく逃げちゃ駄目だというのはありますね。
まあ芸人って冠番組とかMCやってなかったら、40過ぎても若手なので、そういう意味では世間とのズレは若干あると思いますが。
でも、若い芸人さんとかタレントさんと正面切って勝負したくないなーってときに、おじさんぶるのはあります。
スー:お気持ちはよくわかりますよ。私も今、おばさんっていう称号をようやく自分の手に入れたので。だってほら、女の人って10代の後半から自分のことおばさんって言い出すんですよ。思ってなくても、「20代になったらもうおばさんだ」から始まって。
で、20代半ばになると今度は周りから「おまえはもうおばさんだよ」って言われたり。30歳過ぎたら反対に「おばさん」って絶対言っちゃいけないみたいな雰囲気になったりして。いま45歳になって、ようやく名実ともに「はい、おばさん」っていう。正式なおばさん襲名って感じで、今すごくテンション高いんですよ。
山田:家元だ(笑)。
スー:そう、名取からようやく(笑)。だから本当は「もうおばさんだからね」とか使いたいんですよ。ただ、おばさんだからってことだけで、誰かになにかを制限されるのはよろしくない。そこは戦っていかなきゃとは思いますね。
山田:いや、勉強になります。僕もおじさんの品性と格を下げないよう頑張ります。
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