「女子」と「おじさん」が示す日本人の思考停止 意味もなく濫用されすぎていないか

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山田:テレビに限らずですけど、今差別の問題であるとか、ジェンダーの問題を考えたとき、特にバラエティやお笑いの世界でこれまで普通にやってきたことが、今はアウトだと言われるケースも多い。

僕も40歳を過ぎて、正直、自分の判断が正しいのかどうか、瞬時に、感覚的にわからないことがある。あれがセクハラだとかこれがパワハラだっていうことが。耳にした瞬間は「面白いやん」が先にきてしまったり。あるいは、「まあお互いの信頼関係があるから成立してるんちゃうか」というのもある。

だから、これからお笑いをやっていくうえで、もうまずは知識として覚えていかないと駄目だっていうのはすごく思う。そうしないと無理。本能的にはわからないまでも、上書きしていかないと、えらいことになるぞと。

逆張りがいちばんキャラ立ちするけれど…

スー:それは私もすごく感じています。作り手はルールをどんどん刷新していかないといけないですよね。私もラジオでしゃべったり、文章を書いたりしているので、それを聞いたり読んだりした人から「うわー古い価値観だな」と思われたくはない。作るものがつまらなくなるのは怖い。

本名・山田順三(やまだ・じゅんぞう)。兵庫県出身。お笑いコンビ・髭男爵のツッコミ担当。 地元の名門・六甲学院中学に進学するも、中学2年の夏に引きこもりになり中退。約6年の引きこもり生活を経て大検合格。愛媛大学法文学部に入学も、その後中退し上京、芸人の道へ。現在はラジオパーソナリティを務めるほか、ナレーション、コメンテーター、執筆業、イベントなどでも幅広く活動中。著書『ヒキコモリ漂流記 完全版』(角川文庫)(写真:新潮社写真部)

山田:自分が若い時から慣れ親しんでたテンプレートみたいなやつを口にした瞬間、ちょっと怖くなるときあります。

スー:うわってなりますよね。でも今このネットの時代、新しい物言いのテンプレも腐るほどあるわけですよ。で、気づくと何も考えずに新しい定型文を口にしてしまう自分がいるんです。逆張りすればいいってもんでもないので、ちゃんと自分で考えないといけないと思います。

山田:でも逆張りがいちばんキャラ立ちするんですよね(笑)。

あと最近「本音を言うおじさん」が増えすぎてないかっていう危惧はありますけど。

"本音"と言えば、免罪される風潮というか。

スー:びっくりすることありますよね。今の時代、それ言っちゃうんだっていう。

山田:いやーでも僕も自信ないですね。これを言ったら、こう思う人もいるっていうことを、理屈としてもう一回覚え直さないとっていう。

スー:私も差別になりうる内容を言葉のテンプレとしてだけ自分に刷り込んでいるところもあって、過度に自粛しているだけかなと思うこともあります。これじゃダメだなと。ちゃんと芯食って理解しとかないと、何も言えなくなるぞと。

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