東洋経済オンラインとは
ライフ

医者と患者が「ガッツリすれ違う」根本理由 大竹文雄×石川善樹「行動経済学の力」対談

13分で読める
  • 大竹 文雄 大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授
  • 石川 善樹 予防医学研究者
2/6 PAGES
3/6 PAGES
4/6 PAGES

大竹:科学的に正しい情報ではなくて、自分がよりよく知っているものを優先して意思決定したいという特徴を持つのが、利用可能性ヒューリスティックです。

行動経済学で知る「人間の意思決定のクセ」

大竹:人間の意思決定のクセで代表的なものは4つあります。

1つは「プロスペクト理論」。治療を決定するというのは、「何%でうまくいく、何%でうまくいかない」という不確実性の下での意思決定だといえます。

伝統的な経済学では、客観的な確率を基に人は合理的に意思決定すると考えられていました。しかし、行動経済学では、確率そのものの人の認識が、客観的なものと異なることと、現状からの変化を重視してしまうということで、意思決定は伝統的な経済学の予想と少しずつずれているとされています。プロスペクト理論は、そうした不確実性下において意思決定をするときの人間の特性を示しています。

たとえば、人は得をするときには安全志向になるけれど、損をするときはリスクを好んでしまう。「現状維持バイアス」のように、現状が維持できる可能性があるのなら、それに賭けてしまいたいと思うのです。

石川:一気に損を取り戻せるかもしれないというときには、リスキーになってしまうということですね。

大竹:2つ目は、すでに紹介した「現在バイアス」。遠い将来のことについては、忍耐強い意志決定ができますが、直近のことになるとせっかちになる。嫌なことを先延ばしする、またはつねに自分の好きなものを手にしたいという特性があります。

医療の場合、特に大事なのが3つ目の「社会的選好」。人間には、利他的な行動、つまり人のことを考えるという特性と人の行動に影響されるという特性があります。

石川:「周りの人がこうしていますよ」と言われたら、「そんなものかな」と思うということですね。

5/6 PAGES
6/6 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象