イタリア「橋崩落」どうして防げなかったのか 閉鎖や規制は最終手段と考えていた可能性

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この会合で同氏は、橋の補強と補修の新プロジェクトが承認されたと明らかにしたが、その報告はすでに補修工事にうんざりしている住民を、さらにがっかりさせただけだった。住民側は、橋の状態について彼を追及しなかった。だが、トラックが通ると橋が心配になるほど揺れていたと後で話す人もいた。

住民たちは知らなかったが、この会合の時点で、橋の道路面を支える鉄筋の一部がすでに10─20%程度腐食していたことが、ロイターが確認した2月の技術レポートで明らかになった。

これらの鉄筋やワイヤーが、コンクリートの塔から道路面を吊り上げて支えるケーブルとして使われている。橋を担当した建築デザイナーの故リッカルド・モランディ氏によるデザインの特徴として、これらの鉄筋はコンクリートで包まれており、腐食状況を把握するには精密なスキャン装置が必要だった。

大雨が降る中で起きた今回の崩落事故では、ワイヤーの腐食が捜査の焦点の1つだ。携帯電話で撮影された粗い映像を見ると、ワイヤーが1箇所で切れて、路面が200メートルにわたり下の谷に落下したように見える。

インフラ整備交通省に提出された2月の技術レポートでは、専門家がアストラーデによる橋の補修・補強計画を支持する理由として、腐食について簡単に言及している。

橋の閉鎖や交通規制を行わなかった理由を同省に問うと、腐食の状態がそれを必要とするほどではなかった、と回答した。アウトストラーデは、コメントしなかった。

ミラノ工科大学がまとめたリポート

アウトストラーデのためにミラノ工科大学がまとめた昨年10月の報告書も、車の往来による振動に対する腐食したワイヤーの反応に「異常な点」があると指摘していた。ジェノバ港を発着する大型コンテナトラックで、橋の交通量は多かった。

アウトストラーデと同大は報告書の公表を拒んでいるが、その一部が地元メディアにリークされた。報告書を作成した同大学のステファノ・デッラトーレ学部長は、報じられた主なポイントを認めた上で、橋に崩落の危険があると判断するためには、この調査だけでは十分でなかったと述べた。さらなる調査が必要だったと、同氏は語った。

「一部ワイヤーが適切に機能していなかった事実によって、ようやく(補強)工事が行われることになった。それにどれだけの時間的余裕があるかを把握するには、追加調査が必要だった」と、同氏は話した。

インフラ整備交通省とアウトストラーデは、この報告書についてコメントしなかった。

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