日経平均2万5000円台が現実味を帯びる理由 にわかには信じられないかもしれないが・・・

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テクニカル面に目を移そう。2018年の日経平均株価を占ううえで、以下の3つを押さえておきたい。

①52週線自体は右肩上がり→上昇トレンド
 ②52週線前後で何度も下げ渋る→上昇トレンド
 ③18年2月急落時の週足のマド埋め(2万3098円)→一段高のサイン

週足チャートをみれば、日本株は緩やかな上昇トレンドを継続している。まず、長期トレンドを示す52週線は右肩上がり、52週線前後をサポートラインに下値を切り上げている。今後は週足のマド埋め(2万3098円)が一段高のサインとみている。

再び秋に「大相場」がやって来る?

次に、売買代金の話にも触れておこう。また、例年秋以降に日本株は売買代金の増加傾向がみられる。9月は休み明けの海外勢が市場に戻ってくることや、個人マネー中心に中間配当や株主優待の権利取りを狙った買いも入りやすい。

写真は都内で2014年9月撮影(写真:ロイター/Toru Hanai)

また、米中貿易摩擦懸念が台頭した今年3月(日経平均株価は年初来安値2万0617円)に信用売りをした投資家は6カ月期日が近づき、買い戻しを迫られている。そのなかで9月20日は自民党総裁選だ。仮に安倍政権の3選が決まれば、追加的な経済政策を見込んだ海外マネーが日本株市場へ流入してくることもありそうだ。海外マネーや個人マネーに売り方の買い戻しが加われば、日本株は売買の厚みが増してきそうだ。

ここ数年の日本株を振り返ると、転換点は「秋」。2016年は米大統領選、2017年も衆院選をきっかけに秋から年末にかけて2割程度上昇している。今2018年は自民党総裁選の結果を先取りした「ラリー」が始まりつつあるのかもしれない。

日経平均株価は半年以上の三角保ち合いを経て、日柄調整は十分だ。足元は連騰しているとはいえ、年初来+0.2%(8月28日時点)にとどまり、過熱感はほとんどない。今年4度目の2万3000円台のトライは上げ相場の始まりといえよう。今後の焦点は買い方と売り方が均衡する2万3098円を終値で上回れるか、だ。総裁選と売り方の期日が重なる9月の日本株は、一段高の展開も期待できそうだ。

最後に日経平均のテクニカル上の重要価格を挙げる(8月28日時点)。

2万4124円 2018年1月高値(年初来プラス5.9%)
2万3098円 週足のマド(2018年2月急落時)
2万3002円 2018年5月戻り高値
2万2813円 2018年8月28日終値(年初来プラス0.2%)
2万2764円 2017年末値
2万2471円 25日線(短期線)
2万2466円 75日線(中期線)
2万2408円 200日線(長期線)
2万2155円 52週線(長期線)
2万1857円 2018年8月安値
2万0617円 2018年3月安値(年初来マイナス9.4%)

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

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なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

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