僕たちが「抵抗されても変革をやめない」理由 小泉進次郎×松本晃「100年人生」働き方対談
松本:若い人の扱いもよくないですよね。会社には、いまだに偉い人から下の人までヒエラルキーがあるでしょ。そんなことはやめて、若い人には勝手に好きなことやらせてあげればいいんです。もちろん失敗はするでしょう。でも、若い人が失敗したところで、会社はめったに潰れません。会社を潰すのはトップなんですよ。だから、若い人には自由にやらせてあげて、その代わり、失敗したときには、なぜ失敗したのかをちゃんと学ばせる。負けに不思議の負けはないんだぞ、と。
小泉:僕は、自民党もこのままではダメだと思って、すごく小さなことだけどペーパーレス化に乗り出したんです。自民党の会議には若手官僚がたくさん来るんです。前日の夜に何百部もの資料を用意して、修正が入ると全部捨てて、作り直して、それを封筒に入れて検品して……。そして、早朝から段ボール詰めにした資料を車で運んで、議員一人ひとりのテーブルに配る。厳しい勉強をして東大や有名大学に入って官僚になった若者たちが、そんなことをやらされているんですよ。
ところが、ペーパーレス化にはとんでもない抵抗勢力が現れました。私の耳に入ってきたのは、議員の秘書が「仕事がなくなる。紙の資料を渡しに行った先で関係を深めていたのに、それができなくなる」と。あきれましたね。紙の資料が欲しければ自分で印刷すればいいし、紙を使わなくても関係を深める方法はほかにいくらでもある。
みんなの仕事を楽にするというのは、仕事を減らすことそのものが目的ではなく、汗をかくべきところでかくための環境づくりなんですよ。働き方改革にしても、単純に「長時間働くこと=悪」という考えは違うと思います。汗をかく必要がないところに、汗をかくように強いている日本の環境、これがおかしいんです。
会社とは、魅力的な人間をつくる場所
松本:僕も小泉先生の考えと同じです。会社とは、本来、魅力的な人間をつくる場所なんですよ。魅力的な人はいい仕事をします。いい仕事をすると会社が栄える。そして、みんなに返ってくる。ところが、いまの会社は、若い人をどんどんダメにしているでしょ。何の意味もない仕事を、みんなが「これが正しい」と思ってやり続けている。大部分は勘違いなんですよ。
小泉:お話しさせていただいて、やはり「溶ける」ということが大切だなと改めて思いました。今後は、日本の産業構造も溶けていくでしょう。業界を超えたビジネスが生まれているんだから。
松本:かなり溶けているんですけど。たとえば、新聞の「株式」欄。「食品」「薬品」と業種順に掲載されていますが、ここはもはや食品会社じゃないだろうということもある。すでにぐちゃぐちゃになっているんですよ。ウォール・ストリート・ジャーナルはABC順に掲載していますよ。
小泉:最近は、クールビズでも思うところがある。僕は夏でもたまにネクタイを締めるんです。そういうスーツスタイルが好きなんですよ。ところが、「クールビズなのになんでネクタイしてるの?」なんて言われる。クールビズ期間中の肌寒い日に無理にクールビズをする必要なんてないのにネクタイをしないで「寒い、寒い」と言っている人もいる。もっと自由に、自分の頭で考えて、自分らしくいられる国にしたい。
全国で、農業・漁業や地域のために頑張る現場の方々に会ったりすると「日本は大丈夫だ」と思うんですよ。でも、国会に戻ると「大丈夫か!?」と思ってしまう。国民の皆さんも、きっとそう感じていると思うんです。国会を見て、「よし、この国は大丈夫だ」と思っていただけるようにしたい、そう思っています。
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