僕たちが「抵抗されても変革をやめない」理由 小泉進次郎×松本晃「100年人生」働き方対談
小泉:僕は、街づくりに関しても、運動が当たり前になるような仕掛けを作っていくことが大切だと思っています。たとえば、議員会館と国会議事堂には、地下連絡通路があります。ジャンプすれば届くほど天井の低い通路なんですが、僕はいつも「この天井に雲梯(うんてい)がついていれば、移動しながら運動できて一挙両得なのになあ」なんて思うんですよ。階段もそう。バリアフリーのほかに、あえて負荷をかけたい人のための「超バリア」があってもいいんじゃないか、なんてね。
僕が運動に親しむことを奨励するのは、日本という国を「病気になってからお金を使う国」から、「病気にならないようにお金を使う国」に変えたいからです。たとえば、公園を活用する手もあると思っています。公園に、健康器具を含めたジムのような機能があって、ゼロ歳から100歳までが集う。規制を緩和して、飲食や営業もできるようにする。RIZAPにとっては、会社の業績に反する話かもしれませんが、そういう社会をつくっていけば、長い人生、そう悪くないものになるんじゃないかと思っています。
松本:おっしゃるとおり。まったく同感しますよ。
「息子を超一流の経営者にしたい」
小泉:松本さんは、大企業カルビーから、創業15年の若い会社への転身ですね。どういった感覚なのですか?
松本:RIZAP創業社長の瀬戸健さんは、小泉先生と同年代なんですよ。僕の息子がちょうど瀬戸さんと同い年で40歳。年齢でいうと、父親みたいなものです。ですから、息子をなんとか超一流の経営者にしたいという感覚ですね。特に、日本の社会というのは瀬戸さんのような若くして成功した人を、みんなで潰してしまう。現に、潰された方もいますからね。
小泉:具体的には、どういったことをアドバイスされていらっしゃるんですか?
松本:会社として必要な基本です。RIZAPグループという会社は非常に成功思考ですから、足をすくおうとする人間は当然現れますし、自分でコケる可能性もあります。自分がコケることも、仕事で失敗することも、どうということはないんですが、たとえば、社員の一人が事件を起こす、コンプライアンスの問題などは、誰がやっても許されない時代ですからね。
最初にやっておくべきだと思っているのは、コーポレートガバナンス。いまのRIZAPが失格とは思いませんが、必ずしも満足できるレベルにあるとは思いません。土台をしっかり作っておかないと、会社というところは危ないんです。いまの時代は、何かあればすぐに世間みんなからたたかれる。成功した人間には、みんなが嫉妬心を持ちますし、出てきた者は潰してやれという人は必ずいますからね。
――RIZAPグループでは、若手の瀬戸さんがCEO、そして松本さんがCOOという立場になられましたが、どのようなご感想をお持ちでしょうか。
松本:なんの違和感もありませんよ。そもそも僕は、仕事をやるためにRIZAPへ行ったわけで、CEOでもなんでも、肩書はどうでもいいわけです。それよりも僕は、カルビーで9年間CEOでしたが、CEOというのはCOOにちゃんと仕事をやらせてあげる立場。だからあまり口は出さない。そうするとフラストレーションが溜まるんですよ。だから今回は、あえてCOOをやってみたいというところはあります。ただ、RIZAPは瀬戸さんが社長なので、できるだけ彼を立てていこうと思っています。
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