僕たちが「抵抗されても変革をやめない」理由 小泉進次郎×松本晃「100年人生」働き方対談
松本:人生100年時代と言えば、リンダ・グラットン氏の『ライフ・シフト』という本に、これからはマルチステージの生き方になって、若い人が上司になることもありうる、というようなことが書いてありましたね。もともと僕は、あの本に書かれている「20年学び、40年働き、20年余暇を過ごす」という旧来型の3ステージの人生が、自分には向いていないと思って生きてきました。
仕事というのは、とにかくやりがいがあるものなんです。世のため人のためになって、儲かる。儲かると、いいことがある。もし、毎日ゴルフをやったり旅行に行ったりするのが楽しいのなら、そうしますけれど、それが本当に仕事よりも面白いのかというと、僕にとってはそうでもない。仕事のやりがいというものは、なかなか捨てられないんですよ。
僕が仕事を辞めることがあるならば、ボケたり、身体がダメになったりしたときです。でも、仕事をしているほうが健康なんですよね。人生100年、人それぞれの過ごし方でいいと思いますが、「20年学び、40年働き、40年余暇を過ごす」なんてのは無理でしょう。40年も余暇なんて経済的にも持ちませんよ。やはり、75歳くらいまで、少なくとも55年間くらいは働いたほうが、人生100年の生きがいも感じられるんじゃないかと思いますね。
就職でも就社でもない、就ライフだ
小泉:55年間働くとおっしゃいましたが、おそらく、そういった区切りさえもどうでもいいのかもしれませんね。いま、この時代に問われていることは、「働く」という概念そのものなのでしょう。僕や松本さんは、仕事に燃えているとき、「働いている」という感覚ではないと思うんです。最近は、「ワーク・ライフ・バランス」という言葉が根付いてきましたが、僕は、「政治という職業」ではなく、「政治家という生き方」をしていると考えていますから、「ワーク・アズ・ライフ」という言葉のほうがフィットするんです。
これは「学ぶ」ということにも当てはまります。僕は、学生さんにこう言うんです。「大学には18歳から22歳まで4年間通うものと決めなくていいんだよ。何歳でもいいんだ。と。
ある学生さんが「新聞社の政治部の記者になりたいんです」と言って、アドバイスを求めてきたんです。僕はこう答えました。「あなたはそもそもなぜ記者になりたいの? 新聞社に入るのは、『就社』。新聞記者として働くのは『就職』だよね。でも、多くの人が知るべき世の中に埋もれた、報じるべきことを報じたい、という目的があるなら、実はそれは新聞社である必要も、新聞記者である必要も、政治部である必要もないかもしれない。新聞に限らずさまざまなメディアがあるし、誰もがメディアになれる時代だ。自分が本当にやりたいことはなんなのか。そこに立ち返るのが『就ライフ』だよ」と。自分がどう生きたいのか。そこをしっかり持っていることが大事だと思いますね。
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