ホンダ「N-VAN」、乗って分かった軽バンの実力 乗用でイケるかといえば「半分YES」

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パワートレインはNA/ターボ共にN-BOX用の「S07B」をベースにラジエターをサイズアップしたほか、ホンダ独自の「可変バルブ機構」であるVTECを付けないなど商用車向けに改良した。実はホンダ初の四輪車である軽トラック「T360」以来の商用車+DOHCの組み合わせでもある。

トランスミッションはCVTに加えてNAモデルには軽バン初採用の6速MTを設定。これはスポーツカーの「S660」用をベースに改良したユニットだが、実は現在のホンダの軽自動車MTは6速しか設定がないので苦肉の策でもある。

ちなみにT360のエンジンがスポーツカーのS360と共用していたようにN-VANはトランスミッションをS660と共用。さらにDOHC搭載と知ると何か運命的なものを感じるのは私だけだろうか?

安全性も「商用車だから……」というエクスキューズはなく、N-BOX譲りの衝突安全ボディに加えて商用車初採用となる「ホンダセンシング」を全車に標準装備している(一部はレス仕様も選べる)。

このように軽商用バンを造るうえでのさまざまな“制約”が結果的にN-VAN独自の“個性”を引き立たせているのも事実だろう。そういう意味では、1990年代にミニバンを造りたいがベースとなる商用車がないのでアコードの基本コンポーネントを使用。さらに生産工場の設備の制約で全高をあまり高く設定できなかった初代オデッセイが、結果として新しい市場を切り開いたのによく似ている。

実際にN-VANに乗ってみてわかったこと

そんなN-VANの乗り味はどうか。筆者はホンダが7月下旬に千葉県木更津市で開いた試乗会に参加した。

まず、NAエンジン+CVTに100kg荷物を搭載したモデルに試乗。ステアリング角度やシフトの位置、比較的大きめでしっかりと造られた運転席シートによりドライビングポジションは軽バン特有の姿勢ではなく乗用車と同じように自然に取れるのがうれしい。

一般道を普通に走るかぎりはパワー不足を感じることはなく、登り坂はアクセル開度が大きめになるが、巧みなCVT制御も相まってアクティ時代のようにトロいと感じるほどではない。一般道だと3000~4000rpmを常用するが、静粛性の高さも相まってそれほど騒がしくは感じない。

6速MT仕様は1速が積載時の発進用、2~5速が常用、6速は巡航用のギア比となっているが、2~5速を上手に使って走ると、見た目に似合わずキビキビと走れる。本来の使い方とは異なるが、どこかビートを思い出すような“使い切り感”が楽しい。

一方、ターボ+CVTは動力性能に余裕があり登り坂や高速巡航でもアクセル開度が少ないうえに、アダプティブクルーズコントロールを使用しても前車に追いつかない……といったこともない。また、一般道では2000~2500rpmとNAより低い回転を常用するため、静粛性は軽バンのレベルを遥かに超えN-BOXに匹敵するレベルと言ってもいいだろう。ただ、バン用ラジアルを履いているためロードノイズはやや大きめである。

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