「木造」にプレハブメーカーが参入する事情 プレハブ工法のコスト低下にも限界がある

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ウッドステーションの立ち上げに協力したミサワホームの関係者に聞くと「プレハブ工法ではコストを下げるにも限界がある。プレハブメーカーにとっても“軽自動車”のような商品が必要だ」という。しかし、長年、“高級乗用車”のプレハブ住宅を売ってきた営業部門からの理解が得られなかった。そこで、協力工場として稼働率アップが期待できるテクノエフアンドシーの全国5か所の工場で事業化を進めることにした。

木造住宅は住宅市場の構造変革になりえるか

ウッドステーションでは、6月から受注を開始しているが、テクノエフアンドシー以外にも協力工場を増やして全国展開するための体制整備を進めているところだ。「もちろん大手住宅メーカーだけでなく、木造在来工法で住宅をつくる工務店からの注文にも対応する」(塩地社長)と、木造在来工法の新しい業界標準プラットフォームの構築を目指す。

YKKAPがウッドステーションに出資したのは「ZEHに取り付けるサッシが、従来に比べて重くなり、工務店からサッシの取り付け支援を求められるケースが増えているため」という。確かに工場で組み込んでパネル化できればメーカーにとってもメリットは大きい。

気になるのは、パナソニックが出資した思惑だ。パナソニックホームズでは、木造住宅は戸建分譲事業のみに限定するとしており、注文住宅はプレハブ住宅を展開する。はたして、どこまで本腰を入れて木造住宅事業に取り組むのか、現時点では読み切れない。

国内乗用車市場は、1990年当時、5ナンバーの小型車が75%を占め、3ナンバーの普通車が10%、軽自動車が15%だった。しかし、2000年には軽自動車が30%を突破し、小型車50%、普通車20%となり、2010年以降は、普通車、小型車、軽自動車で3分の1ずつを分け合う市場構造となった。

すでに積水ハウスや大和ハウスなどの大手でも木造住宅に参入しているが、必ずしも順調であると言えない面もある。果たして大手プレハブメーカーにとって、木造住宅は“軽自動車”的な存在として、“高級乗用車”のプレハブ住宅と上手く棲み分けできるのか。それとも、プレハブ住宅の“ガラパゴス化”を加速する両刃の商品となるのか。新設住宅市場の縮小が進むなかで、さまざまな変化が現れることになるだろう。

千葉 利宏 ジャーナリスト

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ちば・としひろ / Toshihiro Chiba

1958年北海道札幌市生まれ。新聞社を経て2001年からフリー。日本不動産ジャーナリスト会議代表幹事。著書に『実家のたたみ方』(翔泳社)など。

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