――木村さん、二宮さんは、事務所の先輩後輩でもありますし、そういった関係性が今回のキャスティングにうまく出たように思うのですが。
それは出ていると思いますね。現場では役を意識して、うまく離れたほうがいいときは離れているし、不自然じゃない形で会話もしたりしていた。決してなれ合いではない関係性というか。基本的にジャニーズのスターたちはそういうのができている。
それは『関ヶ原』でご一緒した岡田准一さんもそうでしたが、やっていて楽しかったです。いろいろなアイデアの交換や冗談を言い合ったりして、現場がすごくスムーズに流れていきますよね。
――ジャニーズ事務所といえば、もちろんアイドルのイメージが強い一方で、積極的に製作委員会に入るなど映画にものすごく力を入れている事務所という印象もあります。
やはりそれは本人たちの意向もすごく強いんだと思います。僕が組んだ人はみんな、演じることの面白さというものをよくわかっている。『日本のいちばん長い日』では、もっと若い戸塚祥太にも出てもらいましたけど、彼なんかも、ものすごく楽しんで演じてくれました。そういう意味で、今のところ僕が組んだジャニーズの役者はみんなよかったですね。
観客に「正義とは何なのか」を考えてもらえれば
――本人側の意識も高いということですね。
かなり高いと思います。演じることの面白さというのもわかっている。今回は、木村さん、二ノに、演技巧者の舞台役者たちをぶつけていこうというコンセプトもあった。だから松重豊さん、酒向芳さん、大倉孝二さん、八嶋智人さんという人たちに出演していただいたわけです。みんながそれぞれの”競演”シーンを楽しんでくれていますよね。
いずれの共演者との化学反応もよくて。そうした対決を終えて、最後には、二ノと木村さんが直接ぶつかり合うという、理想的なトーナメント形式になっています。だからキャスティングというのは本当に重要。今回、ほとんどが第1希望の人で決まりました。これは大きかったですね。
――そういう意味では手応えはあるのでは。
面白いと思っているのは、この映画には英語バージョンがあって。それを観てくれた欧米の知識人たちのリアクションが「これだったら続編が観たい」というものでした。でも日本の知識人は「面白い」とは言ってくれていても、続編のことは言わない。それはきっと日本人にとってあまりにも身近な問題だったからだと思うんです。
欧米人にとっては、単純に沖野と最上の対決の続きが観たいという反応だったような気がします。だから「ニノが見たい、木村拓哉が見たい」という気持ちで映画館に来た人たちが、もう一歩進んで、「この国で生きていくときの正義とは何なのか?」ということを考えるようになってくれたらといいなと思っています。
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