――全体を見ているということですか。
そうです。ほかの役者のところも読んでいます。たとえば諏訪部と沖野との闘いというか、取調室での会話のシーンがありましたよね。そういうところなら、諏訪部は沖野をバカにするように、「先生ねぇ」みたいな言い方をするのでないかといったサジェスチョンも出てきました。さらに彼は引き出しがすごく多く、いろいろとアイデアが出てくる。なおかつ彼はモノマネがうまい。
――そういえばドラマの記者会見の時にも、共演者からモノマネが上手だと言われていたことがありました。
木村さんが諏訪部になりきってセリフを言っている姿を見ると、本当に諏訪部の役をやらせたくなったりする。おそらくこれから先、ああいう役もこなしていくのではないでしょうか。感心するぐらいに、その役になりきってそれを考える。もちろん最上に関しての提案も出てくるわけで、やっぱり「さすがだな」と思いますね。
二宮さんはサッカーで言うとフォワード
―― 一方、二宮さんはいかがでしたか。
彼はサッカーで言うフォワードタイプで、前へ前へと突き進んでいく感覚がすごいです。集中して、その役を生かすことが、結果として周りとのバランスをうまく取れるということを本能的にわかっている。それと、彼はいきなり本番で演じるほうが力を発揮するタイプなので、松倉(酒向芳)の取り調べシーンでは、彼がキレる寸前までをリハーサルしておいて、あとは本番で爆発してもらう、ということをした。
――本番の爆発力を期待したということですね。
1回目があまりにもすばらしく、基本的にはそれでオッケーだったのですが、やっぱりいろんな角度から撮りたいから、テイクを重ねることにした。ただあまりにも気を入れて演じていたので、「まだ何回かやるけど、今の怒鳴りはあと何回ぐらいできる?」と聞いたんです。そうしたら「何回でも大丈夫ですよ」と言ってくれた。最終的には5回、マルチカメラで5テイク撮りました。
すると2テイク目からは徐々にアドリブも増えてきて。松倉の口をまねて(人を食ったように)「パンッ」とやるのも脚本には書いていなかったのを、彼がアドリブでやったものでした。
――そういった芝居を何回もできるというのは、二宮さんの役者としての資質なんでしょうね。
二ノも木村さんもやはり天性のものを持っている。彼らは意識しなくても、それが後ろ姿でも、きっちりといいポジションにいてくれる。撮りたくなるアングルというものが自然とにじみ出てくるような感じがある。われわれはそれをうまく拾っていけばよかった。
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