「検察側の罪人」は単純なスター映画ではない

監督が語る狙いと木村拓哉&二宮和也の実力

――本作は雫井脩介さんの同名小説が原作となりますが、二宮さん、木村さんが演じたそれぞれのキャラクターについて、どのようにしてイメージを膨らませたのでしょうか。

主人公のエリート検察官・最上毅を演じる木村拓哉(手前)と、若手検察官・沖野啓一郎役の二宮和也。2人の対立シーンはこの映画の見どころのひとつ ©2018 TOHO/JStorm

若手の沖野検事のほうはニノのイメージでいいと思ったのですが、最上検事を木村さんがやるとしたらどうしたらいいのか、ということは考えました。原作小説はとても長いので、最上が思う正義を貫くプロセスをきちんと説明していますが、映画でやる場合、それをうまく説明できないのではないかと思いました。

そこで、木村さんのイメージに合わせて、“僕が見たい木村拓哉の最上”という形に書き換えていくアイデアが浮かびました。そのひとつとして、登場人物のひとりである闇社会のブローカー・諏訪部(松重豊)が気に入っていたので、諏訪部と最上のリンクをもっと濃くしようと考えたのです。そういうアイデアを披露したところ、東宝サイドも事務所サイドも乗ってくれて。そこから今回の最上像が作られていきました。

「今までの木村拓哉じゃない」を打ち出せた

――ヒーロー的な役が多かった木村さんですが、近年のドラマや映画などを観ると、そのイメージからシフトチェンジしようとしているのかなという気がしています。そんな中、善と悪が複雑に絡み合った最上という役は、木村さんの出演歴の中でもかなり突き抜けた役だと感じるのですが。

どんな役者もそうですが、それまでヒーロー的に売っていると、あるところで、人間の悪い面が出る役も演じてみたいという気持ちが出てくるものです。最上というキャラクターも、自分なりの正義を貫くことに対する迷いもある役なので、今回はちょうどいいタイミングだったのかなと思います。

そういうところを強調して、もっともっと人間らしさを出していくことで、「今までの木村拓哉じゃないよ」というのを打ち出せた。それは本人も意識して、これをやっていこう、と思ったはずです。

――木村さん側から「こういう役をやりたいんだ」というリクエストみたいなものはあったんですか。

それはなかったですよ。彼と最初に会った時には、脚本は書き終えていましたから。むしろ本人もこの役に乗ってくれた。まず脚本ありきで、この最上を演じていくうえでの彼のアイデアを聞いていったという感じです。それこそ彼は、サッカーで言う司令塔というか、ボランチみたいなもので、視野が広くて、脚本を読み込むときも自分の役だけじゃないんです。

次ページほかの役者のセリフも読んでいる
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 「米国会社四季報」で読み解くアメリカ優良企業
  • 岡本幸一郎の自動車情報発信局
  • 賃金・生涯給料ランキング
  • ニッポンの出産は安心・安全なのか
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
NHKの正体<br>膨張する公共放送を総点検

受信料収入が5年連続で過去最高を更新し、ネット常時同時配信への進出を見込むなど肥大化が進むNHK。一方でガバナンスに問題を抱えており、公共放送としての存在意義が問われている。事業体としてのNHKの全貌を総点検した。