――本作は雫井脩介さんの同名小説が原作となりますが、二宮さん、木村さんが演じたそれぞれのキャラクターについて、どのようにしてイメージを膨らませたのでしょうか。
若手の沖野検事のほうはニノのイメージでいいと思ったのですが、最上検事を木村さんがやるとしたらどうしたらいいのか、ということは考えました。原作小説はとても長いので、最上が思う正義を貫くプロセスをきちんと説明していますが、映画でやる場合、それをうまく説明できないのではないかと思いました。
そこで、木村さんのイメージに合わせて、“僕が見たい木村拓哉の最上”という形に書き換えていくアイデアが浮かびました。そのひとつとして、登場人物のひとりである闇社会のブローカー・諏訪部(松重豊)が気に入っていたので、諏訪部と最上のリンクをもっと濃くしようと考えたのです。そういうアイデアを披露したところ、東宝サイドも事務所サイドも乗ってくれて。そこから今回の最上像が作られていきました。
「今までの木村拓哉じゃない」を打ち出せた
――ヒーロー的な役が多かった木村さんですが、近年のドラマや映画などを観ると、そのイメージからシフトチェンジしようとしているのかなという気がしています。そんな中、善と悪が複雑に絡み合った最上という役は、木村さんの出演歴の中でもかなり突き抜けた役だと感じるのですが。
どんな役者もそうですが、それまでヒーロー的に売っていると、あるところで、人間の悪い面が出る役も演じてみたいという気持ちが出てくるものです。最上というキャラクターも、自分なりの正義を貫くことに対する迷いもある役なので、今回はちょうどいいタイミングだったのかなと思います。
そういうところを強調して、もっともっと人間らしさを出していくことで、「今までの木村拓哉じゃないよ」というのを打ち出せた。それは本人も意識して、これをやっていこう、と思ったはずです。
――木村さん側から「こういう役をやりたいんだ」というリクエストみたいなものはあったんですか。
それはなかったですよ。彼と最初に会った時には、脚本は書き終えていましたから。むしろ本人もこの役に乗ってくれた。まず脚本ありきで、この最上を演じていくうえでの彼のアイデアを聞いていったという感じです。それこそ彼は、サッカーで言う司令塔というか、ボランチみたいなもので、視野が広くて、脚本を読み込むときも自分の役だけじゃないんです。
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