外国人が飛びつく「日本モノ」は何が違うのか トーキョー・オタク・モード流の売り方

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フォロワーがアクティブなのも特徴的で、1つの投稿に対して数千に上るコメントが寄せられることも。「実店舗なら人通りの多い場所に新規開店すれば自然と気づいてもらえますが、オンラインストアはただオープンしただけでは誰にも認識されません。Tokyo Otaku Mode Shopは2013年に開設しましたが、その時点で多くのファンがついていたため、広範囲にPRすることができました」と、同社CEOの小高奈皇光氏は話す。

海外ファンはアンケートにも積極的で、「いま注目しているアニメは?」といった質問に、5000前後の回答が返ってくることもある。オリジナル商品を企画するときは、こうしたファンの声が貴重なマーケティングデータとなっており、たとえば、TVアニメ「狼と香辛料」のヒロイン・ホロのフィギュアを企画した際は、試作した段階でファンから募った意見を参考に最終形を完成させた。寄せられたコメントは、255件にも上った。

試作段階では尻尾が下を向いていたが、活発なキャラクターらしさを出すため上向きに(トーキョー・オタク・モード提供)

海外の人は「直球の商品が好き」

同社が取り扱う商品は、雑貨やアクセサリー、フィギュアなど多岐にわたるが、海外ではどんな商品が、ウケがいいのだろうか。CCOのモリサワ氏によると、日本ではよく見ないとグッズだと気づかない商品が人気だが、海外では直球の商品が好まれるという。

魔法使いの嫁・オリジナルデザインウォッチ(トーキョー・オタク・モード提供)

「日本人はオタバレせずに好きな作品のグッズを身につけたいという人が多いのですが、海外のファンからは“もっと作品を前面に押し出してほしい”と言われます。彼らは基本的に“好きなものを好きと表明して何が悪い”というスタンスですから」。

トーキョー・オタク・モードは、クールジャパン機構から得た資金を、主に物流システムの強化に充てた。国内に1拠点、北米に1拠点、自社開発オペレーションシステムで稼働する倉庫を設置。発送する国に合わせた梱包を行い、1日400点以上の商品を輸送している。海外EC事業に乗り出したことで同社の売り上げは数十倍となり、版権を持つ会社にもロイヤリティが還元されている。「ロジスティクスの整備は、国の支援がなければできなかったこと」と小高氏は振り返る。

では、日本のポップカルチャー全体は、いま海外においてどんな状況なのだろうか。日本アニメーション振興会が毎年7月にロサンゼルスで開くコンベンション「アニメ・エキスポ」の来場者数は右肩上がりで、今年は4日間で15万人を記録した。来場者の熱量は高く、日本のコミケよりもコスプレを楽しむ人が多いという。パリを舞台に開かれる「ジャパンエキスポ」もポップカルチャーを中心に日本の文化全体を紹介するイベントだが、来場者は20万人を超える。

こうした中、動画配信サービスのネットフリックスは今年、日本のアニメプロダクション2社と提携、作品を共同制作し、全世界に配信する予定だ。日本のアニメやマンガなどを配信するアメリカのクランチロールも無料会員が2000万人、有料会員が100万人と快進撃を見せている。

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