高速道路「途中下車」ひそかに進む実験の効用 観光振興に限らず給油インフラ減少に対応も

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このガソリンスタンドの空白地帯については、多くの実態リポートがネット上で見られるので、ここでは詳しく触れないが、近年ガソリンスタンドの経営状況が悪化、一般道でも、たとえばある自治体でガソリンスタンドが撤退して域内に1つもガソリンスタンドがないという状態になって困っているという例がよくニュースで取り上げられているが、高速道路でも状況は同じである。

一時退出を駆使した賢い高速道路の利用法

一時退出実験の対象「道の駅」(国土交通省HPより)

冒頭の観光やグルメの旅のためではなく、ガソリン切れを起こして高速道路上で車が立ち往生することがないよう、一般道のガソリンスタンドの利用を高速道路の通行者にも組み込もうという社会実験である。

「ガス欠」は最も初歩的な運転上のトラブルだが、高速道路ではなかなか減っていないことから、こうした試みが行われている。私たちとしてはどこでこうした一時退出の社会実験が行われているのか、という情報を正確に把握し、まずはガソリンを切らさないために、そしてこちらが本来の姿だが、地域ならではの味や土産物を通して地域の文化に触れる貴重な機会として、「一時退出」を駆使して旅や出張を豊かにするのが、賢い高速道路の利用法といえそうだ。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、NPO産業観光学習館専務理事、京都光華女子大学キャリア形成学部教授、リベラルアーツ・ジャーナリスト。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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