高速道路「途中下車」ひそかに進む実験の効用 観光振興に限らず給油インフラ減少に対応も

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群馬県南部と埼玉県北部の「上武エリア」は、我が国有数の小麦産地だけあって、地粉を使ったうどんや深谷市の郷土料理、煮ぼうとうの名店も掲載されているし、ほかの地域ではほとんど知られていないローカルフードの紹介もある。地味で目立たないエリア、観光地とは認知されていないエリアだからこそ、ちょっとだけ立ち寄って、あとはまた目的地へ向かってくださいという、かなり謙虚(?)なPRの手法である。

とはいえ、高速道路はいったん一般道に降りて再び高速道路に入ると、通して乗るよりも割高になってしまう。たとえば練馬IC―碓氷軽井沢IC間は直行すれば普通車の通常料金は3640円だが、途中本庄児玉ICでいったん一般道に出ると、練馬―本庄児玉2220円、本庄児玉―碓氷軽井沢1800円の合計4020円となり、380円のプラスとなる。JRの乗車券では片道の営業キロが100km以上であれば一部の例外はあれ、何度でも途中下車できるのと比べると、一時退出のことは考慮されていない料金体系といえる。

周遊プランさまざま

こうした中、NEXCO各社では主に観光客の一時退出需要に応えるため、一定のエリア内で定額で乗り降りが可能な「ドラ割」「速旅」「みち旅」と呼ぶ企画商品を販売している。関越・上信越エリアでは、新潟県内、長野県内で乗り降り自由な「2018新潟観光ドライブパス」「2018信州めぐりフリーパス」が現在販売されている。

ドラ割を紹介するNEXCO東日本のホームページ

たとえば信州めぐりの周遊プランでは、長野県内の高速道路が2日間乗り降り自由で普通車で5500円となっており、最遠区間の碓氷軽井沢IC―飯田山本IC間の通常料金だけでも5120円かかる。長野県内で2日間乗り降りすれば相当お得になる。北海道や九州でもこうしたパスが販売されており、目的に対応するパスが見つかれば、ICを出入りすることで料金が割高になる心配をせずにドライブできる。

ただし、ETC車限定であったり、事前の申し込みが必要であったり、利用日が限られているなどの制約があるので、確認のうえで利用する必要がある。最も使い勝手がいいのは、全国の高速道路が乗り降り自由な「ジャパン・エクスプレスウェイ・パス」だが、これは訪日外国人向けの限定商品なので、一般の日本人は残念ながら利用できない。

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