「羽田アクセス線」で激変、東京の鉄道勢力図 京急は本数増で対抗、東急は「蒲蒲線」に意欲

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出所:JR東日本、国土交通省などの資料を基に編集部作成

同路線の構想の中心にあるのは、東海道貨物線の東京貨物ターミナルと羽田空港国内線ターミナルビル間の約6kmの新線建設だ。さらに東海道線と東海道貨物線を新設線でつなげば東京駅と羽田空港が直通する。また、りんかい線と新設線をつなぐことで、西側では新宿、渋谷と、東側では新木場と羽田空港が乗り換えなしの1本で結ばれる。同時にりんかい線と京葉線を新木場駅で相互直通させる計画もある。

つまり、羽田アクセス線は上野東京ライン、常磐線、宇都宮線、高崎線、埼京線、京葉線に直通し、関東の広範なエリアから集客できる。羽田空港から東京ディズニーリゾートに乗り換えなしで行くといった芸当も可能になるのだ。

羽田アクセス線の長所は主要駅と空港が乗り換えなしで結ばれることだけではない。主要駅―羽田空港間の所要時間も劇的に改善される。東京―羽田空港間は東京モノレール利用時の28分、京浜急行電鉄利用時の33分から18分へ、新宿―羽田空港間は京浜急行線利用時の43分、東京モノレール利用時の48分から23分へ、臨海部では新木場―羽田空港間が東京モノレール利用時の41分から20分へと短縮される。

京急は運行本数増加で対抗する

羽田アクセス線が登場すると、京急と東京モノレールは羽田空港へのアクセスで現在得ている主役の座を追われかねない。両社は羽田アクセス線にどう対抗するのだろうか。

京急の鉄道輸送人員に占める羽田空港利用者の割合は年々増え、全体の約1割に迫る。空港線の運賃には新線建設費用を回収するための加算運賃を上乗せしているため、収入ベースのウエートはさらに大きい。国際線利用者と横浜方面の利用者は羽田アクセス線の影響を受けないと思われるが、新宿、渋谷方面からやってくる国内線利用者は、京急が何も手を打たないと羽田アクセス線にシフトするのは必至。

京急の対抗策は利便性の改善だ。「(2027年頃に予定されている)京急品川駅の地平化によってホームは2面3線から2面4線になる。また、羽田空港国内線ターミナル駅に引き上げ線を新設することも検討しており、これらによって品川―羽田空港間の輸送力増強が可能になる」と、京急の担当者は説明する。

もし品川―羽田空港間の運行本数が現在よりも大幅に増えて、待たずに乗れるようになれば、羽田アクセス線への利用者転移を多少は食い止めることができるかもしれない。京急は品川駅前に大型ビジネスホテルやショッピングセンターを抱えており、これらを再開発して大規模複合施設に建て替える計画もある。リニア中央新幹線開業で重要性が高まる品川駅における京急の存在価値低下は何としても回避したいはずだ。

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