タクシー運転手の半減がありうる納得のワケ テクノロジーの超進化が変える輸送の未来

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もうひとつ起こりうる大きな変化がある。ドライバーが必要とされなくなれば、当然ながらタクシー会社がドライバーを雇用する必要がなくなる。つまり、「人材の確保やその教育」などはしなくてもよくなり、「運行車両の調達」さえできればいいことになる。そうすると、車両を調達するために必要な資金を手当てすることが得意なプレーヤーが輸送サービスに参入してきてもおかしくはない。

ここで想定しているのは単独車における完全な自動運転であり、安全に運行されることが前提のため、これまで運行を経験したことがないプレーヤーでも自ら事業に参入してくるだろう。

新しい環境で「勝者」が変わる可能性

では、ここまで見てきたような新しい環境では、どのようなプレーヤーが勝者となるのだろうか? 端的にいえば、

・車両を調達できる資金を手当てできるプレーヤー
 ・より多くの利用者を集客できるプレーヤー

がその条件を満たすといえる。

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前者に関していえば、資金もあり、また自動車そのものを製造している自動車メーカーは輸送サービスのプレーヤーとして資格がある。

また、後者でいえば、利用者をより多く抱えている、また日ごろの接点の数が多いプレーヤーが該当する。いまある配車サービスのウーバーやリフトなどが将来もユーザーを増やしていけるのであれば、(単に技術だけではなく、日本の政策・法律的な兼ね合いも多分にあるが)将来、この領域でさらに存在感を示しているかもしれない。

もっとも、輸送サービス以外でサービスを展開し、すでに多くのユーザーを抱えている企業が参入することもありうる。

たとえば、先ほどDiDiとの協業で触れたが、ソフトバンクでいえば、同社の携帯電話の契約数は、2017年12月時点で3950万件もある。もちろん契約者すべてが移動サービスのユーザーとなるわけではないが、これは新しいサービスを始める基盤としては十分すぎる数だ。もっとも、NTTドコモの契約者数は7500万件、auも5000万件を超えており、両社とも移動サービスを始めるというのであれば、納得感は十分にあるだろう。

泉田 良輔 テクノロジーアナリスト/GFリサーチ合同会社 代表

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いずみだ りょうすけ / Ryosuke Izumida

愛媛県松山市生まれ。慶應義塾大学商学部卒業、同大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科修士課程修了(同研究科最優秀賞を受賞)。日本生命保険・国際投資部にて外国株式ポートフォリオマネージャーとしてインターネットやメディア、小売りセクターを担当。2002年から2012年までフィデリティ投信の調査部にて主にテクノロジーセクター担当の証券アナリストとして従事。2013年にGFリサーチおよびナビゲータープラットフォームを設立。ナビゲータープラットフォームでは個人投資家のための金融経済メディア「Longine(ロンジン)」を立ち上げ、同編集長に就任。また株1(カブワン)や投信1(トウシンワン)で監修および運営に携わる。著書『銀行はこれからどうなるのか』(クロスメディア・パブリッシング)、『Google vs トヨタ』(KADOKAWA)、『日本の電機産業 何が勝敗を分けるのか』(日本経済新聞出版社)や、日経BizGateでの連載「泉田良輔の新・産業鳥瞰図」など多方面で分析や執筆を行う。東京工業大学大学院非常勤講師。株式会社ナビゲータープラットフォーム 取締役。 

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