表現力のない企業は生き残れない リーダーがこぞって頼るアートの力とは?

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日本オリジナルの点とは

――海外にも似た取り組みはないのでしょうか。

斎藤立(さいとう・りつ)1976年東京生まれ。マッキンゼー、米コロンビア大学MBA、投資ファンドRHJインターナショナル(NY/東京)を経て、シグマクシスに参画。TEDスピーカー。CEO補佐を務めた後、現在、プリンシパル。戦略立案に留まらず、現場を巻き込んだ企業変革を得意とし、アートを活用した新しい変革支援プログラムであるVision Forestの立ち上げなど、シグマクシス独自の価値創造に注力している。

斎藤:そうですね。海外では、デザイン志向というテーマが注目されています。しかし、アート志向は機能としてのデザインを超えて、人間の内面にはいっていく意味でより深いインパクトを生み出しうると思っています。また我々の取り組みは、外部のアーティストやデザイナーに制作をゆだねるのではなく、経営者の中にあるクリエーティビティを引き出すという考え方なので、従来を超えた独自性があると思います。

長谷部:組織に導入できる条件を備えたクリエーティビティを鍛えるプログラム自体、少ないと言われています。また海外でも鑑賞することが主で、実際に描くことも含まれるプログラムも耳にする事がありません。

斎藤:なので、海外にも段階的に出たいという思いはあります。2012年にTED Talent Search(広める価値があるアイデアをプレゼンする世界的なカンファレンス)でお話をさせていただいたのも、そんな思いがあったからですが、21世紀は日本流の表現、創造性の高め方を世界に発信できたらいいなと考えています。

長谷部:そういう思いもあるので、社名も、海外から入ってくるモノを黒船と呼ぶのに対して日本発と言う事で、「ホワイトシップ」にしました。

海外では、このアートプログラムを考えたのが日本人だって事にまず驚かれます。日本人ってコミュニケーション能力などが低く、表現が苦手なイメージがあるからでしょうね。一方で、日本人クリエーターの多くが世界で認められている事実もあります。日本人は、言語化するのがあまり得意ではない分、実はそれ以外で表現するのに長けているということです。

斎藤:ハーバードやスタンフォード大学などで学んだ知人たちも興味を持ってくれています。リーダーがロジックを訓練するのと同様、表現力を磨く手段の一つとしてアートを描くことが当たり前になる世界をつくりたいと思っています。
日本に話を戻すと、あくまでひとつの例ですが、日本企業のリーダーは、仕事への思いはあるけれど、口下手な人が多いです。実際にそういう方がアートを描くことを通じて、想いを口にしたくなり、今までの枠から外れて語ってくれるケースがあります。ピュアな思いがある分、言葉が伴うとかなり伝わってきます。そういう意味で、コミュニケーションが上手でない人ほどアートの効果が顕著に出ますね。

絵のうまい下手は関係ありませんし、アートが好きかどうかも重要ではなく、今の組織を変える方法が他にあるのではないか、と向上心の高いリーダーの方々が反応してくれています。

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