石破茂氏、「ひょっとして」大旋風はあるのか

善戦のためにカギを握るのは地方党員票

実際に「小泉旋風」が吹いた2001年の総裁選では、党内基盤の弱い小泉純一郎元首相が勝利した。当時の都道府県連票は「総取り制度」を採用していたとはいえ、小泉氏は123票(議員票を加えると298票)も獲得し、15票(同155票)の橋本龍太郎元首相を大きく引き離した。

こうした前例に加えて石破氏には、2012年の総裁選で地方票で安倍首相を上回ったという自負がある。「私ほど地方を歩いた政治家はいない」と豪語する石破氏は、特に安倍首相の影響の小さい地方から講演活動を行い、徐々にその影響力を拡大させてきた。今年2月には全く地盤のない大阪市内でセミナーを開いて約1000人も集め、官邸に危機感を抱かせた。安倍首相も4月には大阪入りしたが、石破氏は翌5月に再度大阪に行き、大阪府連所属の地方議員約40名と“串カツ会合”を開いている。

具体的な政策を明らかにせず

石破氏が安倍首相より先に出馬会見を開いたのも、「先手必勝」を狙ったのだろう。そして安倍首相を政策論争に巻き込むことで、優位を得ようという戦術だ。

そのためにビラにも文藝春秋の寄稿にも、わざと具体的な政策を明記しなかったのだろう。ビラで提唱されているのは、①謙虚で正直で国民の思いに近い政治、②透明・公平・公正な政治・行政、③課題に正面から挑み決断する政治の3つで、中身についての具体性はない。また「政治・行政の信頼回復100日プラン」を策定するとしながらも、その内容は出馬会見では明らかにされなかった。

現実問題としては、石破氏は非常に苦戦している。というのも、頼りにしていた参議院平成研から佐藤正久参議院議員が安倍支持を表明したからだ。それは参議院平成研の結束が崩れるという意味だけではない。元防衛相の石破氏にとって、元自衛官の佐藤氏は特に期待する相手でもあった。

それだけ安倍首相からの締め付けが厳しいといえるが、今後3年間のレイムダック化を防止するためにも、安倍首相にとってはやむをえない選択なのだろう。

石破氏の出馬会見により、事実上の火ぶたが切られた自民党総裁選。あと40日間でいったいどんなドラマが展開するのか。

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