「野田聖子出馬」は、"安倍一極構造"を壊すか 安倍首相への逆風が意外な作用をするかも
事実上の出馬表明と解してよいだろう。自民党総裁選(9月8日告示)に意欲があると言われる野田聖子元自民党総務会長が9月1日に開いた自身のパーティーで、「いまの私の心は『義を見てせざるは勇なきなり』に尽きる」と明言したのだ。
もっとも、具体的に「総裁選に出馬する」と述べたわけではない。だがその言葉には、十分すぎるほどの野田氏の気持が感じられた。「具体的に言ったら潰されるから、ぎりぎりの線で選んだ言葉だろう」と、取材に来ていた記者は口ぐちに語っている。自民党総裁選は、2人以上が立候補した場合、20日に投開票される。
安倍首相に完全に干された野田氏
9月3日の誕生日にちなみ、野田氏は毎年9月に帝国ホテルでパーティーを開く。帝国ホテルは、野田氏が政治家になる前に勤務していた“古巣”だ。
野田氏は挨拶の冒頭で、「今日に限って国会議員は来てもらえないかと思った」という自虐的な言葉を口にした。そういえば、昨年のパーティーでも、野田氏は同じような言葉を述べている。
というのも、その日は第2次安倍改造内閣の発足と重なり、自民党総務会長だった野田氏は解任されて無役になっていた。もともと安倍晋三首相に近くないため、“干された”のは明らかだった。
それから1年経た今も、野田氏の“干された”状態に変わりはない。総裁選に出馬するには20名の国会議員の推薦が必要だが、あえて野田氏を支持しようとする議員の数は少ないと言われている。しかも細田派(95名)・額賀派(58名)・麻生派(37名)・二階派(34名)・山東派(10名)の派閥が次々と安倍首相を支持することを表明。また45名の岸田派は、岸田文雄外相が不出馬の意向を周囲に示したといわれている。事実上の安倍首相支持容認だ。
よって、たとえ出馬が叶ったとしても、野田氏に勝ち目はないだろう。それでも出馬するのはなぜだろうか。
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