自身の経験と反省を踏まえて、小林さんは就活生にこうアドバイスする。
「就活は、急に『自分を知れ』『会社を知れ』『競争して内定を取りに行け』と、よくわからないまま進んでいきました。でも私はもっと多くの社会人と、特に立場がまったく異なる人に話を聞くべきだった。そうすれば、人をきっかけに興味を持って、企業を調べることができただろうなと」
小林さんは自身の今後の目標をこう語った。「今の会社では、女性の活躍に追い風が吹いている。私もそれに乗って仕事をがんばりたい。ただそろそろ結婚したい思いもありますね。相手は仕事に理解がある人でないと、今は難しいですけどね」。
「こんなことがしたかったんだっけ」
リクルートキャリアの調査によると、企業を選ぶ際に最も重視する条件として、業種や職種を挙げる就活生が多い。しかし、希望業種に就職できていても、理想と現実にギャップがあるケースもあるようだ。
「現在はウェブメディアの運営をしながら、山梨県で宿泊型のワーキングスペースも手掛けています」。そう充実した表情で語る宮田修さん(28歳、仮名)さんも、希望通りに有名企業へ入社しながら、早期に転職を決めた1人だ。
宮田さんは明治大学を卒業後、大手食品メーカーB社に就職した。理由はもともと大手志向で、学生時代のアルバイト経験などから、B社の商品を好きになったからだ。
同時に、学生時代に留学や海外でのインターンシップを経験するなど、「英語をいかしてグローバルに活躍したい」希望も持っていた。B社は海外売上高比率も高く、当時は海外で働くチャンスが多くあると踏んでいた。しかし、後にその数字は、傘下に収めた海外メーカーの業績で、出向の機会もあまり多くないと気づく。
「就活は好きな商品や興味のあるサービスに関わるのが第一でした。そこに英語力を活かした海外志向も加えた。今思えば最優先にすべき軸が定まってと思います」。宮田さんがそう振り返るのは、好きなことを仕事にする理想と現実のギャップに苦しんだからだ。