「就活勝ち組」たちが早期退職を決断した理由

だから3年も経たず、私は人気企業を辞めた

一方では、学生にも、事前の研究を促す。「大企業ならではの働き方を知らずに入社を決める学生が多い」というのが、曽和氏の指摘だ。

人気企業=大企業とは言い切れないが、現実的に大企業に学生の人気は集まりやすい。学生が待遇や知名度、社会への高い影響度などに、魅力を感じるためだろう。しかし曽和氏は、華やかなイメージだけで決めてしまうと思わぬ落とし穴が待っている、と警鐘を鳴らす。

「学生に大企業を希望する理由を聞くと『大きな仕事ができるから』という声をよく耳にします。本当にそうでしょうか? 確かに取引額の規模など大きな仕事を扱いますが、1人の社員が担うのは、それを細切れにして小さくした仕事です。あくまで分業であり、任される範囲は狭い。仕事全体を見渡すような仕事は、ある程度の立場について初めてできます」

大企業は分業で、筋書きが決まっている

たとえば、「人事」の仕事を例にとると、大企業では採用と配属で担当は分かれていて、採用の中でも新卒と中途が分かれるなど細分化している。一方で、規模が小さな会社の人事担当者は、人事にまつわるすべての業務に加え、総務などを兼務している場合もある。

大企業は何千人もの社員を抱え、業務分担で効率的に成果をあげる強みを持つが、反面、若い頃から裁量権を持って仕事したい人には、デメリットにもなり得るのだ。

分業制であることに付随して、曽和氏は「『勝ちパターン』が決まっているのも大企業の特徴です。よほどの新規事業でない限り、売り上げを立てるための筋書きは、過去の経験から決まっていることが多いのです」と説く。

商品・サービスの開発や販売において、各自が戦略を練って提案することよりも、決まったプロセスをこなすことを求められる傾向にあるわけだ。

もう1つ、大企業の向き不向きを判断する指標として、曽和氏は”おじさんリテラシー”を挙げる。そして「年上や権力に物怖じせず、でも生意気にはならずに、懐に入り込める力です。簡単に身に付くものではないですが、意思決定の経路が多岐に渡る大企業で、自分の意思を通すには大事な能力です」と指摘する。

大手や人気企業に絞って就活することや、そこから転職することは決して悪いことではない。しかし、不本意な理由で辞めるのであれば、先に手を打てなかったのかと考えてしまう。大手を目指す動機が「その企業に入社すれば、周りからすごいと言われるから」だけなら、学生は1度立ち止まって考え直してほしい。すでに苦い経験をした先輩たちの声に耳を傾けて、より幅広い選択肢を考えてみてもいいだろう。

キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 財新
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
  • インフレが日本を救う
  • ぐんぐん伸びる子は何が違うのか?
トレンドライブラリーAD
人気の動画
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
「睡眠不足を甘く見る人」が払う体への代償
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
保険営業 ノルマ未達なら「雇用契約打ち切り」の無惨
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
ラーメン店の倒産ラッシュが必然でしかない事情
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
攻撃的な人の態度を軟化させる絶妙なワザ
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
人材戦略から儲けのからくり<br>まで コンサル全解明

人材の争奪戦が過熱し、年収水準もうなぎ登りに。デジタル化を背景にコンサルティング業界は空前の活況を呈しています。本特集ではコンサル業界の動向やビジネスモデルを徹底解説。コンサル会社を賢く選び、上手に活用していくノウハウを紹介します。

東洋経済education×ICT