トヨタ「10代目カムリ」、発売1年の通信簿 日本の「セダン離れ」に楔は打ち込めたか

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かつて「アメリカでは、新車を購入することが苦痛だ」という話を耳にしたことがある。それはアメリカメーカーの車に当てはまる。新車を買ってはじめの数カ月は不具合が起きやすく、整備工場へ頻繁に持ち込まなければならないということが当たり前だったそうだ。

ならば、一度買ったクルマを長く乗り続ければいいと思うのだが、アメリカではリース契約により使用料を払う感覚でクルマを手に入れる例が多いので、リース契約切れすれば新車に替えざるをえない。

その点、カムリなら、あるいは日本車なら、ことにトヨタ車なら信頼性が高く、新車に買い替えたあとの面倒が少ない利点がある。したがって、過去、J.D.パワーによる顧客満足度でトヨタや日本車が上位を占めたのである。

ステアリング(撮影:尾形 文繁)

またアメリカに住む友人に聞いた話では、中古車のカムリもよく盗難に遭うという。なぜなら、部品が高く売れるからだそうだ。それほど、日本車、トヨタ車、そしてカムリへのアメリカ人の信頼は高いものがある。それが、15年連続乗用車販売ナンバーワンの背景だ。

国内ではどうか

では、国内ではどうか。日本ではこの30年で「セダン離れ」が進んできた。昭和の時代までは、乗用車といえばどれもこれもセダンだった。消費者は排気量と価格に応じて、自分に見合う車種を選んでいた。

ところが平成に入ると時代は一変。ミニバンやコンパクトカー、SUV(スポーツ多目的車)など車種の 選択肢が増えた。収入水準に見合うセダンに買い替えるという消費行動パターンは、遠い過去の話だ。それもあってか、9代目までのカムリも人気は低空飛行という状態だった。日本自動車販売協会連合会の統計によれば、10代目カムリが登場する前の2017年は1~6月までの国内販売台数トップ50位までに、カムリの名は出てこなかった。

運転席(撮影:尾形 文繁)

10代目カムリは、2017年7月10日に発売された。その7月の日本自動車販売協会連合会による乗用車ブランド通称名別新車販売ランキングでは、26位に顔を出した。2018年6月にフルモデルチェンジをしたクラウンが2017年7月時点で前型としてモデル末期だったとはいえ、それまで毎月2000台前後から時には3000台近くまで売っていたクラウンを抜いてのトップ50入りであった。

次ページ約半年間で、前年の3倍近い台数が売れた
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