被災しても守る「ひとり親世帯」の子の居場所 大阪北部地震で移転を余儀なくされた学習塾

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「将来に向けての意欲を持って勉強してもらおうと思ったら、子どもたちの『今』を安定させて、安心してもらうところから始めないといけない。であれば、ここは単に『勉強するだけの場所』ではなく、『居て落ち着ける場所』、『勉強がない時も来てもいい場所』、子どもたちの言葉を借りれば『第2の家』みたいな場所でなければいけません。

例えば、悩みを他の誰にも聞かれずに相談できる空間も必要です。また、『今日何もご飯食べていない』という子どもたちとも少なくない数出会ってきた中で、お腹を空かせた状態で勉強を頑張るというのはなかなか難しいことなので、食事を提供できる機能もなくてはいけません。それがすべて整った場所があったら理想だな、いつか作れたらいいなと思っていました。でも今回地震が起きて、もともとしんどい状況に置かれているところに、さらに地震というものが襲ってきてより悩みが深くなってしまった子どもたちに対して安心を届けようと思った時に、今のままではダメなのではないかと。今、自分たちが思い描いている塾を作らないと、それくらいのものじゃないと、子どもたちに安心してもらえないのではと考えています」

1日も早い再建が必要

今回のクラウドファンディングで目標金額を達成することはできましたが、新しい場所での高槻校の再開は早くて9月中~下旬に。夏休み中は、飲食店「はる遊食堂」や公共施設などを利用して子どもたちをサポートしていく予定だということです。しかし、子どもたちに「いつでも行ける場所がある」という安心感を持てるようにするには、1日も早い再建が必要です。

中学3年生から「渡塾・高槻校」に通う高校3年生の横川遥那さん©︎NPO法人あっとすくーる

「僕らと会っている時はすごく楽しそうにしているのですが、『地震後どうだった?』という話をすると、『家で1人でいるのが怖い』という話がぽろっと出てきたり、職員に『ちょっと話を聞いてほしい』と連絡が来たり。とりあえず一時的に再開できたのは良かったのですが、個別に話を聞いてほしい子の相談に乗るということが、今お借りしている場所ではちょっと難しい。

営業中の飲食店の一角で個別に話を聞くような空間はないので、うちの職員が帰る子どもを途中まで送って行って話を聞いている状態です。また、受験生の子どもたちもいるのですが、夏は結構大事な時期。去年までは夏休みだと夏期講習という形で日中も勉強でき、夜までずっとリラックスしながら過ごしながら勉強することができていたのですが、今はそれが難しい状況です。特に受験生は人生の分岐点で、プレッシャーがグッと強まった時に何かしらのしんどさが出てくる可能性があるということは、これまでの子どもたちを見ていてもあったので、支えていきたいと思っています」

「絶対に塾をなくすという選択肢を取らないでいてくれるのがすごく嬉しい」塾生の横川さんは、職員や講師の絶え間ないサポートと熱意の下で、今日も受験勉強を続けています。

「NPO法人あっとすくーる」については「GARDEN」当該記事へ

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GARDEN編集部

『GARDEN Journalism』(https://gardenjournalism.com/)は、公益事業者の発信を支援するプロジェクトGARDENが運営するニュースメディア。社会問題と向き合い、困っている人たちの一助になろうと奮闘している、NPOやNGO等の方々の活動を取材し、動画と記事で発信している。

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