東京には「GAFAに勝つ潜在力」がある根本理由 テック4強の経済圏は「現代の護送船団」だ
現状は、正直他の既存企業がGAFAに勝てる気がしませんし、将来も日本からGAFAレベルのルールメーカーが出てくることは期待しにくい。
ですが、今は覇権を握るフェイスブックも、20年前には存在しませんでした。そして、知識の量もWEBページの数も指数関数的に増え続けている。今から10年後、20年後のことなんて誰にも予測できないという状態です。GAFAにとっても難しいはずです。誰にもわからないのですから、今は聞いたこともない会社が近い将来ルールメーカーになる可能性もある。それが日本から生まれないとは誰にも言えません。
大切なのは、この不透明な社会に合わせてクイックに動く会社や人間が強いということです。日本の多くの企業が非常にまずいのは、ここですね。10年後はどうなっているのか、それが見えないと動かない。だから挑戦できない。既存の日本企業だと、ルールメーカーになれる可能性がわずかでもありそうなのは、資金力を考えるとトヨタをはじめ数社程度ではないでしょうか。
その点で、本気でGAFAと戦いに行っているのは、中国かもしれませんね。彼らは「金盾」などの規制網によりGAFAの侵入を防ぎ、国内で独自のサービスを拡大させています。アリババなどがニューヨークで上場するほど巨大化したにもかかわらず、中国は「金盾」の中で自国企業を育て続けています。
お金は意思決定によって流れが決まりますから、先進国や民主主義国家よりもそのスピードが速い途上国や独裁政権の国のほうが強いという面もあります。実際に中国は、GAFAと戦える金額を集中的に投資しています。
これまでは、国vs.国の戦いでしたが、そこにGAFAが殴り込んできて、国vs.企業、国vs.GAFAの異種格闘技戦になった。そして、GAFAが強い。ルールを作る側になるか、フォロワーとしてそのルールに従わなければならない側になるかという構図に、日本はあまり気が付いていないところがありますね。
既存のIT分野に閉じた世界で戦うべきではない
では、日本はどう戦うか。GAFAの本丸である既存のIT、Webの世界で戦うのは賢明ではないと思っています。eコマースならアマゾンを意識せずに戦うことは不可能ですし、SNSはフェイスブックにどんどん買収されます。既存のITの世界ではGAFAのルールに従うほかありません。
そういう状況では、非ITの現場とITを混ぜ合わせる考え方が重要です。その最たる例が、世界最高の起業家イーロン・マスクの戦略でしょう。彼は金融や自動車、宇宙などさまざまな分野とITを組み合わせています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら