北欧の原発を悩ませる「猛暑」の甚大影響 海水温の上昇で一時停止も
北欧の原子力発電所は、加圧水型原子炉(PWR)か沸騰水型原子炉(BWR)のいずれかを使っており、両タイプとも海水温が高いと影響を受けることがある。
一般的には、この地域にある12基の原子炉で海水温が一定の水準まで上昇すると出力が絞られ、さらに高い水準に到達すると停止する。
BWRは、より長く稼動することが可能で、出力低下からさらに水温が数度上昇するまで停止しない。
だがPWRは、出力低下からより短時間で停止する必要がある。
スウェーデンで原子炉7基を操業する国有電力会社バッテンフォールは今週、海水温が25度を上回ったことを受け、リングハルス原発にある4基の原子炉のうち、900メガワットのPWR1基を停止した。
同社のフォルスマルク原発には、BWR3基が設置されているが、バッテンフォールは7月初旬、周辺の海水温が23度を上回ったため、1基あたりの出力を30─40メガワット低下させた。
海水を取り込む取水口の深さによっても違い
フィンランドの電力大手フォータムは先週、海水温が32度に達したため、ロビーサ原発の出力を低下させた。
海水温が原子炉の操業に与える影響の程度は、海水を取り込む深さによっても異なる。取水口が深い位置にある方が、海水温も低い。
また、冷却水として使われた海水を海に戻すときの温度によっても左右される。もしそれが34度を上回れば、一部の原子炉では、安全基準上の理由から、大幅な出力低下や停止を余儀なくされる。
スウェーデン最大のオスカーシャム原発3号機(出力1・4ギガワット)の取水口は深い位置にあるため、猛暑への耐性は他の原子炉に比べて高いと、同原発を運営する独ユニパー<UN01.DE>傘下OKGの広報担当者は話した。
「海水の取り込み口は水深18メートルの位置にあり、海水温は自然に海面より低い。そでれも海水温が高くなりすぎた場合は、それに応じて出力を低下させる」と、広報担当者は述べた。
オスカーシャム3号機は、海水温が25度を超えたら出力を低下させることになっているが、7月31日の時点では20度以下だった。
同様に、フィンランド産業電力(TVO)が操業するオルキルオト原発の取水口も深い位置にあり、海水温は上限の27度を下回っている。
TVOでは、追加の安全対策として非常用の放水路を設けており、一定の条件化で使用済みの温まった冷却水をオルキルオト島の反対側に放水できるようになっているという。
北海とバルト海の毎日の海水温は、デンマーク気象研究所のホームページで確認できる。
https://www.dmi.dk/en/hav/satellitmaalinger/havtemperatur
(Lefteris Karagiannopoulos 翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
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