私が「都立小山台高」で得た代えがたい財産 経団連会長の中西宏明氏が青春時代を明かす

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社会に出て高校のOB会や人脈が役に立つといったことは特にない。でも、「お前もか」というのは時々ある。

たとえば、新日鐵住金の宗岡(正二会長)さんは僕の1学年下。在学中は知らなかった。新日鐵さんといえばウチの大事なお客さんなので訪問するんだけど「先輩」って(言われる)。

中西宏明(なかにし・ひろあき)/1946年生まれ。1970東大工学部卒、日立製作所入社。国際事業部門長を務めるなど海外経験が豊富。2005年に子会社の日立グローバルストレージテクノロジーズCEOに就任し、赤字の同社を再建。2009年3月期の巨額赤字を受け日立副社長に復帰。同じく復帰組の川村隆会長兼社長(当時)らと再建に当たり、2010年社長就任。2014年4月から会長。2018年6月に経団連会長に就任(撮影:大澤 誠)

宗岡さんの兄貴(広太郎氏)もOBで私の5学年上。宗岡さんは僕が工場勤務のときの総務部長で、日立の専務までやった。

先輩後輩は結構いる。キヤノンの御手洗(冨士夫会長CEO)さんは今でも結構お会いする。

あとは有名な人は菅(直人元首相)さん。NHKのアナウンサーだった宮川(泰夫)さんは同じ学年でよく知っている。1年のときに同じクラスじゃなかったかな?彼とは気楽に話をする仲だった。

高校では勉強を一生懸命やっていた。英語は好きで得意だった。英語の先生から「あなたは100点取らないとダメだ」と言われたこともあるが、英語はやっておいたほうがいいよね、と。外国語が好きな姉の影響もあったかもしれない。

大学3年生のときに初めて海外、米国に遊びに行った。大学の先生から推薦状や紹介状をいっぱいもらって西海岸と東海岸の大学めぐりをやった。ちょうど半導体の黎明期で、商用のコンピュータが出た頃で、IBMも訪れた。

リーダーを育てる出発点が高校だ

日本はエリート教育ということ自体がけしからんという風潮があるが、世の中はリーダーが引っ張っていく。リーダーを育てる出発点が高校だと思う。

都立高校の旧ナンバースクールの復活ではないが、新しいエリート教育の確立は必要だ。大変だから受験科目を減らすなんて馬鹿なことをしてはいけない。

あと、やはり本を読む、読書量。高校時代は何でもいいから本を読んだほうがいい。

受験勉強が始まる直前まで、毎月文庫本40冊くらいを読んでいた。だから、よく授業をさぼった。商店街で買い食いしたり、本屋で入り浸りになっていたりね。成績がいい奴はさぼってもいいという雰囲気だった。

今の高校生には、まず自分がどういうところでリーダーシップを発揮できるか、リーダーシップを取ることの面白さを若いときからぜひ学んでほしい。

そのためには知識もいるし、人を説得する力もいる。そういうことを勉強しているのであって、それと受験勉強は矛盾していない。

学校の勉強が苦手な子どもに対しては、よく自分がやりたいことを早く見つけなさいというが、それは難しいのが現実だ。

だから、人の付き合いが大事だろう。当時の小山台は、そういう意味での人の付き合いは豊かだった。

高校時代は振り返ると財産だと思う。(談)

『週刊東洋経済』8月11・18日合併号(8月6日発売)の特集は「ザ・名門高校 校風、進学実績、人脈の大研究」です。
山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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