ついに始まった、反社取引発覚のドミノ倒し みずほ銀行に続き、新生銀行も

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肝心の詳細について、アプラスは「不十分だった」と言う以上は口をつぐむが、取り扱う商品で入り口審査を変えていたもよう。「審査に時間をかけられる」商品、たとえば住宅・リフォームローンなどでは反社審査の全件チェックをかけていた一方で、主力商品の自動車(中古車、新車)ローンは入り口での反社チェックを全件していなかったようだ。

グループ一丸となった対策が求められている。

「審査時間は15分が普通」と関係者は語る。信販会社には、加盟店から審査のスピードアップの圧力がかかる。顧客も審査に長い時間がかかるのを待ってくれないという営業現場の現実もある。

オリコなど上位勢力に比べて序列下位にあるアプラスも、競争に負けまいと大量の契約データをチェックするために、審査迅速性の面で不利になる「反社全件チェック」導入を渋った疑いがある。営業優先で審査を怠った、というそしりは免れそうにない。

発表内容は不十分

アプラスは提携ローンの反社審査の仕組みや、問題発生の原因、経営責任、今後の防止策など、現時点で対外的に一切明らかにしていない。10数行の金融機関と提携ローンを行っている、という以外には問題提携ローンの残高など基本的なデータの開示もしてない。

新生銀行の発表内容も問題の解明にはきわめて不十分だ。十数件という問題融資の数も、完済した反社取引など過去に及ぶ件数を正確に表していない可能性がある。すでにアプラスに反社融資は返したから問題は終わり、ではないはずだ。新生信託銀行が融資を解消してもアプラスには依然として反社取引が残っており、グループとして反社融資を許し、現在も抱えている現実は変わらない。

抜本的な防止・解決策、原因の究明、問われるべき課題は山積みだ。みずほ-オリコの失敗を教訓として生かすことができるのか。経営トップの対応が問われる場面でもある。

 信販、ノンバンク、銀行など日本の金融機関が反社融資に広く汚染されていたという実態がこれからも次々と明らかになる可能性が高い。国内世論は言うまでもなく、米国を始め世界の規制当局・メディアも厳しい視線を寄せる日本の反社取引発覚のドミノ倒しが始まりそうだ。

大西 富士男 東洋経済 記者

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おおにし ふじお / Fujio Onishi

医薬品業界を担当。自動車メーカーを経て、1990年東洋経済新報社入社。『会社四季報』『週刊東洋経済』編集部、ゼネコン、自動車、保険、繊維、商社、石油エネルギーなどの業界担当を歴任。

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