「新生」千葉駅ビルは衰退する市街地を救うか 7年半を経て「ペリエ千葉」新装オープン

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このペリエ千葉の建て替え・改修工事は千葉駅の大改修工事と並行して行われた。1963年に今の位置に移転した千葉駅は、千葉ステーションビル(1985年に「ペリエ千葉」と改称)を併設した民衆駅(国鉄と民間が共同で建設し、商業施設などを設けた駅)となり、約半世紀にわたって利用されてきた。その間に千葉都市モノレールの千葉駅が1995年に現在の位置に開業したが、JRとの乗り換えはJRホームから一旦下に降りて改札を通り、再びモノレールの駅へ上がるという複雑な構造になった。

こういった構造に加え、老朽化や耐震補強の必要性など課題が増えてきたこともあり、JR東日本は2008年に千葉駅の改修を発表。JR駅を橋上駅とし、コンコースの拡張と千葉都市モノレールへのシームレスな乗り換え通路設置を行うとともに、駅ビルは建て替えを行うことを発表した。

コンコースと4階駅ナカの間は吹き抜けで結ばれ、開放感のある空間が演出されている(筆者撮影)
JR千葉駅の中央改札は改修工事により3階に移り、開放感があるものになった(筆者撮影)

工事は2011年に着工。施設設計の見直しを経て2016年11月に新しい駅舎とコンコースが開設され、駅ナカ施設として本屋やカフェなどの店舗が設けられた。従来の駅施設・コンコースから約1.6倍の大きさになったことで、開放感のあふれるコンコースとなり、さまざまな箇所に設けられた大型の発車案内板も見やすく配置され、従来に比べてとても利用者に優しい駅になったように感じられた。

ペリエ千葉は、駅ナカを含めると改札口完成から4回に分けてオープンした。3階より上のフロアを見ると、途中に水平部分のあるエスカレーターや柱の関係で通路やテナントがユニークな配置となっているフロアなど独特な構造が見られ、今回の工事の難しさをうかがうことができる。現在、残る工事は西口の橋上駅舎の工事だ。こちらも今年度中に終わる見込みで、まもなく完成を迎える。

大型商業施設の閉鎖相次ぐ

さて、冒頭で述べたようにここ数年、千葉市街では大型商業施設の閉鎖が相次いでいた。

千葉三越は元々地元の百貨店「奈良屋」と三越の合弁で作られた百貨店「ニューナラヤ」で、その後三越となった。1991年度には年間507億円の売り上げがあったが、2015年度には年間126億円まで売り上げが落ち込み閉館となった(筆者撮影)

まず、2016年11月に千葉パルコが閉館。続いて2017年3月に千葉三越も閉館となった。

2館ともに、1991年に記録した過去最高の売上高から近年では4分の1程度にまで落ち込み、建物を借りて営業していた千葉三越に至っては「賃貸借契約の満了を待たず、違約金を払ってでも早く閉店するほうがよい」という判断での閉館だった。

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