夏の風物詩「打ち上げ花火」の知られざる世界 打ち上げも手持ちも中国製が過半の実態

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大仙市に限らず、花火の集客効果には注目が集まっており、有料席の導入も少しずつ拡大している。そのため昨今の花火大会では、音楽なども含めた”演出”が重要視されてきていて、この演出の拡大が花火市場を牽引していると指摘する声もある。

前出の丸玉屋は1990年設立で、0.03秒単位で花火を打ち上げ音楽と完全にシンクロさせるシステムを導入し、テーマパークの花火なども手掛ける大手演出企業の1つだ。

「35年前に日本にも大きなテーマパークができて、それまで夏にしか上がらなかった花火が年間を通して上がるようになった。これは画期的なことだった。また、花火というのは圧倒的な集客効果を持っていることもわかってきた。協賛金で開催してお客さんは無料で見ることができた花火大会を、観覧収入を得てやろうということも探るようになった」(小勝社長)

丸玉屋は各地の花火大会の打ち上げでのほか、企業イベントやアイドルコンサート、スポーツ大会などでの打ち上げを手掛けている。

最新の花火は、ダンスあり、ベッドでの観覧

東京・お台場では、花火を使った最先端のショーも行われた。エイベックスが昨年からお台場で手掛けているSTAR ISLAND(スターアイランド)は国産の花火と音楽に、火や水を使ったパフォーマンスや、光の演出も加わった近未来型のショーだ。

背景に東京タワーやレインボーブリッジが見えるなど、フォトジェニックであること(写真うつりがよいこと)にもこだわったという

チケットの値段はグループ席も含めて8000~5万円で、席が大きなクッションやベッドになっているもの、ディナー付きのものなどがある。今年5月の開催時はに1万5000人分のチケットが完売した。

また、7月にはこのショーの映像をプラネタリウムで上映もした。「海外でやらないかというオファーも多数受けている」とエイベックス・エンタテインメントの坂本茂義イベント制作グループゼネラルマネージャーは話す。

「日本の花火は確実に世界から評価されている。危険物であるがゆえに輸送費用が膨大になるため輸出拡大は難しいが、輸出にこだわらなくても、外国人観光客に見に来てもらえるようにしたい」(日本煙火協会)。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開閉会式で、最新の演出技術を使い日本の伝統花火を打ち上げようと、小勝社長らが中心になった業界団体も新たに発足した。

海外では何かのイベントの演出として花火を使うのが主流で、花火自体をメインに据える催しは日本にしかないという。花火1つひとつを楽しむ日本独自の感覚と、高度な職人技、最先端の演出技術――日本の打ち上げ花火はさらに進化していくに違いない。

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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