意外と知らない「カバディ女子」のスゴい奮闘 アジア大会で活躍を目指す日本代表選手は?
カバディの試合会場へ足を運んでみると、2つのことに気づく。1つは「カバディ」と連呼する攻撃側の声が非常に小さいという点だ。耳をこらさないと、聞き取ることができない。選手によれば、「審判に聞こえる程度で構わない」という。
だが、息継ぎすることなく、「カバディ」という言葉を繰り返さなければならない。鼻をすすったり、咳払いしたりして途切れると、審判から即座に「キャント・アウト」との宣告を受けてしまう。一時退出させられて、守備側にポイントが入る。
もう1つはコンタクトプレーの激しさだ。守備側は乗り込んできた攻撃側の選手が自陣へ戻るのを防ごうと、束になって押さえ込みにかかる。
攻撃側の選手も防御網をかいくぐって自陣へ戻ろうと必死。指1本でも自陣のコートにタッチすれば生還と認められる。攻撃側と守備側の攻防は「半端ない」迫力だ。
両者のぶつかり合いはラグビーの接点でのプレーを彷彿とさせる。ラグビーには「ダブルタックル」と呼ばれるディフェンスの戦術がある。選手の1人がボールを持って突進してきた相手選手の足元に低く入り、別の選手が上半身にヒットするプレーだ。
カバディの場合、「ダブル」とは限らず最大7人で1人の選手をタックル。そのシーンを目の当たりにすると、「そんなに大勢で押さえつけなくてもいいのに」とも思えてしまう。いきおい、選手にはケガが絶えない。
カバディ選手の多くは転向組
日本の高校や大学にカバディ部があるのはわずか。選手の大半は他の競技からの転向組だ。
実は筆者の勤務する東京・西巣鴨の大正大学はカバディのパイオニアともいえる存在。全国の大学で唯一、男女とも体育会のカバディ部がある。
女子カバディ部3年の上倉のぞみさんも転向組の1人だ。
中学・高校の6年間はソフトボール部の主力選手としてクリーンナップを任されていた。
大学にはソフトボール部がなく、ほかの競技をしようと考えていたところ、カバディ部の先輩に誘われて入部を決意した。
決め手になったのは、「頑張れば日本代表になることができる」との先輩の言葉だ。
大学では現在、中心選手として活躍。日本代表の強化指定選手にも選ばれた。
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