日本が中国人富裕層からガッツリ儲ける方法 シンガポールは「カジノ以外」でも稼いでいる
また、マリーナベイサンズのカジノにはVIPクラブがあります。最初の間口は広く、あまりおカネを使わなくても入れるクラスからスタートします。そこから、使った額などに応じて、ステージも上がり、受けられる特典もどんどん魅力的なものになっていきます。
最上級のクラスは紹介制です。数年前に加入した私の知人は400万円程度のデポジット(預け金)をして資格を得たと話していました。この資格をとると、外国人なら、空港でVIPレーンを利用できるなど、国を挙げての特別扱い。宿泊や食事でも、特別レートなどでの優待がたくさんあります。
中国人富裕層を取り込む日本ならではの施設を
実は、会員クラブやVIPサービスは客自身がある意味で「勝手に努力」してくれ、ステージを維持するために時にはちょっと背伸びや無駄遣いをしてしまう仕組みになっています。また紹介制だと友達を紹介したくなる仕組みになっているので、客自身がセールスパーソンになります。実際に紹介をしたらバウチャーを贈呈といったサービスもよくあります。「類は友を呼ぶ」ので、紹介制は非常に合理的なのです。
こうした富裕層向けサービスは通常は「裏メニュー」でインターネット上でも検索をすれば出てくる場合もあります。しかしほとんどの場合は、奥のほうに隠されていたりして、庶民の目に止まらないようになっています。
また、シンガポールではVIP客の囲い込みや新規顧客の獲得のためにファッションショーやパーティなどイベントが頻繁に行われています。シンガポールのイベントでは軽食やシャンパンなどが周到に準備されていて、本当に華やかです。アパレル店では販促のためにその日は割引だけでなく、ノベルティが出ることもあります。「お酒に気を良くしてお買い上げ」ということもよくあるのでうまい仕組みだなと感じます。
商業施設全体が儲かれば、結局、誰もが利用できる公共部分の設備を充実させることができ、庶民にも恩恵があります。たとえば、シンガポールには空港やマリーナベイサンズに無料でくつろげるベンチなどがたくさんあります。フードコートや安いお店も多いので持ち帰りにして海辺で座って食べている人もたくさんいます。清掃の人がたくさんいるので、公共の場ではあと片付けはしなくても良いのが基本。街にゴミ箱も多いので、気軽に捨てることもできます。
買い物も半端ありません。新作が出たら即買ってくれるお金持ちが多いために、シンガポールのセールは本当に早い。5月や11月下旬から行われ、割引率も高いのです。また3月や9月などの決算期に在庫処分のために6〜9割引セールの催しを別会場で行う場合もあります。
近藤大介氏の『未来の中国年表』(講談社)によると、2023年に中国が世界一の経済大国となり、中間層4億人が海外で「爆消費」をするという予測があります。日本でも、中国を中心としたアジアで増え続けるこうした中間層や富裕層をしっかり取り込んでほしいものです。そのためにも、シンガポール、マカオ、ラスベガスに負けない、日本ならではの世界観があるIR(統合型リゾート)設立を目指してほしいと望みます。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら