日本が中国人富裕層からガッツリ儲ける方法 シンガポールは「カジノ以外」でも稼いでいる

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シンガポールのIR(統合型リゾート)の特徴、カジノに利益を依存する中国の「マカオ型」と分散収入型でエンターテインメント(ショー・イベント)や買い物でも稼ぐ米国の「ラスベガス型」の中間の経営になっています。カジノ収入だけでみると、シンガポールはマカオ、ラスベガスに次いで世界3位です。

つまり、「カジノも強いが、ほかの部門でも稼げる構造」になっているのです。カジノ収入は、主軸を占める中国からの顧客の動向や近隣国での建設の可能性など、不安定要素が小さくありません。カジノが不調なときも買い物やショーなどで回収できる利益構造を目指したほうが、リスクを低減させながら発展できます。

2017年(第1~3四半期)のシンガポールの観光収入内訳をみると、買い物が約23%(前年同期比+9%)、宿泊が23%(同+2%)、飲食が10%(同-5%)、観光・エンターテインメント・ギャンブルが21%(同+6%)、その他が23%(+9%)となっています。つまりカジノの売り上げは全体の約20%程度なのです。買い物、飲食、宿泊などの好調から、全体で2016年の同期と比べて5%伸びていることがわかります。

カジノ施設を中心としたIR(統合型リゾート)を作ることで、カジノだけではなく、宿泊から飲食や買い物まで、1人の観光客から幅広くおカネを落としてもらうことができます。

マリーナベイサンズでは女性の入場料やドリンク無料も

2つのIRのうち、やはりマリーナベイサンズは3つのビルの上に船が置かれていて「見た目のインパクト」が大きいと思います。「一度は屋上のプールに入ってみたい」という観光客も多い、あこがれの商業施設です。実はこの建物、以前にも少し書きましたが、風水設計も完璧なのです。ショッピングモールにも財を運ぶ運河があり、天井から大量の水が落ちてくるように設計された巨大な逆噴水は金運を呼び込み、そこに貯めるという意味があります。

行ったことのある方なら共感してくれるかもしれませんが、大量の光や水が建物内を循環していて、少しおしゃれをしてモールを歩くだけで気分が上がります。水曜日などは屋上のナイトクラブで「レディースナイト」も行っていて女性は入場料とワンドリンクが無料です(対象時間など諸要件あり)。クラブの名前を伝えれば、水曜日は女性なら無料で屋上に上がることもできるのは特権ですね。

ショッピングモールの営業時間は午前10時半から午後11時(金、土、および祝祭日の前日は午後11時半)までと夜遅くまで営業しています。日本でも最近ナイトエコノミーの重要性が叫ばれていますが、たとえば世界初の「夜だけ開園するサファリ」として有名なナイトサファリなど、夜の観光を楽しみ、屋上のバーで1杯飲んだ後、ほろ酔い気分で買い物ができるようになっているのです。

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