「フルゆとり世代」の言葉に感じる嫌な傾向 「レッテル貼り」は観察力や思考力を鈍らせる

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私がこの話を読んで思うのは、長兄は観察力がすごいに違いないということです。まず相手をよく観察して、何が起こっているかを見抜かなければ不可能な話だからです。相手の表情、肌の色つや、一挙手一投足をよくよく観察して、その奥に秘められた心身の状態を見抜いてしまうのでしょう。

観察力こそ達人の条件だ

そして、この観察力こそ達人の条件です。いろいろな分野において、達人たちはみな間違いなく観察力に秀でています。たとえば、優れた教師は、朝の登校時から子どもたちをよく観察しています。そして、どの子に気を配るべきかを見抜きます。ある子は朝から親にしかられストレスがたまっています。ある子は寝不足であり、またある子は朝食抜きで空腹です。

伝説的な名医・扁鵲が先生なら、こういったことまで見抜くのだろうと思います。もちろん、大勢の子どもたちを1人で見ている現代日本の教師がそこまで見抜くことは難しいでしょう。でも、観察力のある優れた教師なら「この子は何かあったな。よい状態ではないな」ということには気がつきます。

そうすれば、何かしらの対応が可能になります。その子のところに行って話を聞くとか、あるいは雑談をしながら探りを入れるなどです。いち早くその子の連絡帳を確認して、そこに親からの連絡があれば事態を把握することができます。朝からしかられた子は、友達とトラブルを起こす可能性が高くなります。そこで、何かひとつのことで褒めたり愚痴を共感的に聞いてあげたりすれば、気持ちをすっきりさせてあげられます。それによって、トラブルを未然に防げます。

授業中に発言したいことがあるのに、自分からは手を上げられない子がいます。優れた教師はそういう子を目ざとく見つけて発言を促すことができます。表情やちょっとした仕草に気をつけて見ていれば、それがわかるのです。テレビのバラエティ番組を見ていても、優れたMCは発言したいタレントを見抜いて指名します。特に何も言いたいことがない人を指名してしまい、つまらない発言をされて白けるということは少ないです。

優れたセールスマンやデパートの店員も、客をよく観察しています。私も若い頃に、本や餃子を売っていたことがあるのでよくわかります。客をよく観察しないまま、こちらの思いで突っ走るとうまくいきません。客が自分を警戒していると気がつけば、商品の話など持ち出さずに、雑談を盛り上げる必要があります。しかも、その話題も相手の興味のありそうな内容に徹しなければなりません。セールストークに入ってからも、ここは引くところだとわかれば潔く引きます。押すところだとわかれば一気に押します。それもこれも相手をよく見ていなければわからないことです。

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