他団体からポニーへと移籍する子どもも多いという。
「異なる考え方で野球をしたい親子にとって受け皿になりたいですね。指導法としては”根性野球”を排除しています。ただし挨拶、マナーは徹底しています。暴力否定は言うまでもありません。
ポニーの指導者は、講習会を受けないとベンチ入りできません。講習会では” 選手が主役、あなたが主役ではない”ことをしっかり認識してもらいます。そして子どもの成長のために冷静な行動を求めます。
他の団体にないのは『監督会』ですね。他の団体から来た指導者は監督の下にコーチとして入って経験を積みます。そして、監督会が認めた指導者を監督にしています。問題があれば監督会として改善をしていく仕組みです」
親の負担の部分でも、独自の考え方だ。
「ポニーは野球が好きな人間が高校野球を目指して勉強しながらやるもの、という考えです。だから、できるだけ安価に硬式野球に親しんでもらいたいと考えています。あるチームの場合、月謝は月4000円、遠征費1000円です。お茶当番などは各チームで決めていて、協会としてはこうするべきだとは言っていませんが、負担は軽減されつつあります。
ただ、ポニーリーグは国際的な組織ですから、全国大会に勝つと国際大会に出場し、アメリカやアジアに遠征します。この際には、本人負担は35000円を上限とし、残りは協会が負担します。ポニーの考えに賛同する協賛会社がスポンサードしてくださいます。
他の3団体とここまで指導法、運営方針が違うポニーだが、野球の実力はどうなのか?
「率直に言って、実力的には4団体でいちばん下でしょう。それでも中学時代におなかいっぱいまで野球をやっていないので、高校行ってけっこう甲子園に行く選手が出てきます。
先ほども言ったように、ポニーは、高校に行って輝く選手を作るために、水をまいたり肥やしをやったりするのが仕事です。今、花咲かせてどうするんだ、と言う考え方ですね」
やはり最近の親の熱意は高まっていると感じている。
「ポニーに集まっている父兄は、昔に比べて子どもを溺愛しています。みんな子どもへの夢がある、うちの子はどこまでできるんだろうと思っている。でも、うちは野球が上手な子を求めません。野球が好きな子に来てほしい。野球が好きなら上達するでしょう。私たちはそれを助けるだけです。勝利至上主義とはいちばん遠いところで、野球を通じて子どもたちを育てていきたいですね」
今後の不透明感の中、高まる親の期待
なお、日本中学硬式野球協議会にはこの4つの団体のほかに、九州地区のフレッシュ・リーグ(九州硬式少年野球協会)が加盟している。南北両地区で40チーム前後がリーグ戦を展開しているが、地域的に限定されるため、今回は紹介しなかった。
一方で4団体とも、小学生の野球人口の激減に不安を口にした。今は衰退する中学軟式野球の受け皿として活況を呈しているが、いずれ行き詰まるのではないかと思っている団体が多い。それもあって、競技人口が増えつつある女子野球に力を入れている団体も多い。
率直に言って、少年硬式野球は、予想以上に、健全化へ向けた取り組みを熱心に行っていた。やはり若年世代の「野球離れ」への危機感を持っているのだろう。
ただ、しばしば聞かれたのは「われわれだけが頑張っても、限界がある」と言う言葉だ。「野球離れ」に対する取り組みは、プロアマ、そして全世代が力を合わせるべきものだという思いを強くした。
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