大阪・昭和町「長屋街」が見事再生できた理由

再生の原動力は3代続く不動産屋の地元愛だ

登録有形文化財に指定された寺西家阿倍野長屋(筆者撮影)

大阪市阿倍野区に昭和町というまちがある。大阪メトロ御堂筋線天王寺駅からひと駅、日本一の高さを誇るあべのハルカス近鉄ビルを近くに望む古いまちだ。

その町名が示すとおり、ここは、大正から昭和にかけて大阪市の経済発展とともに、人口が急増したため、周辺の郡部を市に編入して市街化された。その時の町割りは、急増する住民を密度高く住まわせるために長屋を建築することを前提にした寸法で計画され、日本の中でも他に先駆けて土地区画整備事業が行われた。この時建てられた古い建物は、戦火の被害も少なかったことから現在もまちのいたる所に残されている。

しかし、かつてこれほどの活気があった昭和町も、30年ほど前から大正・昭和時代に建てられた古い建物は老朽化し、少子高齢化で人口も減少していった。以前は何でもそろった商店街も空き店舗が目立ち、周辺エリアの空き家や空き地も増えていった。

そんな衰退の途にあった昭和町界隈の再生に奔走するひとりの不動産屋さんがいる。このまちで祖父の代から続く、1924(大正13)年創業の丸順不動産3代目社長・小山隆輝さんだ。彼はまちに残された古い建物をリフォームし、そこに新たな住人と商いを誘致することで、昭和町に再び活気とまちの価値を創りだしている。そのノウハウは、今や全国の同業者やまちづくりにかかわる人から注目され、問い合わせや視察が後を絶たない。そんな小山さんの取り組みを追ってみた。

きっかけは登録有形文化財となった古い長屋

今から15年前の2003年。小山さんは地元昭和町の寺西家が所有する築70年の古い長屋が、文化的価値を認められて元通りに改修されると新聞で知る。早速、長屋を見に行った小山さんはそこで「こんな長屋が文化財になるんやったら、町中が文化財だらけや」と思った。地元の住人にとっては古い長屋など見慣れた風景だが、地域の外から見れば新鮮で価値があるのなら、古い長屋が地域の活性化につながるのではと閃いた。

寺西家阿倍野長屋は外観を改修した時点で早くも話題となり、テナントは労せずに埋まった。そして同年、寺西家阿倍野長屋は、長屋としては日本初の登録有形文化財に指定された。

この見慣れた地元昭和町の再生された古い長屋との出会いが、この後、小山さんが地元に点在する古い建物を活かしてまちを再生していく起点となったのである。

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