ホンダ「N-VAN」軽商用車に新風吹き込めるか 地味な軽バンから脱却、ホビーユースも開拓
助手席側は側面衝突から車を守るのに必要なピラーをスライドドアに内蔵したことで、ドアを開けた時の間口が広くなった。これにより、荷物の積み卸しの効率が上がる。さらに、助手席には前に倒すと下に沈み込む「ダイブダウン」型を採用。助手席と後部座席を倒せば、まったく段差のないフルフラットになるのがポイントだ。この助手席開発には興味深いエピソードがある。
N-VANは2代目のN-BOXと並行して開発されていた。N-BOXでは、前後に57センチメートル動かせることで、助手席側のドアから運転席に移動できる「助手席スーパースライドシート」が採用されている。この機能の導入には、車両の中央にある燃料タンクを薄くする必要があった。
当初は「この機能のためだけにコストをかける価値があるか」という疑問の声も出た。しかし、同じプラットホーム(車台)を使うN-VANで、完全なフルフラットシートを実現するためにも、燃料タンクを薄くすることにしたという。まさにNシリーズのシナジーが発揮されたといえる。運転席も180度に倒すことができる。
仕事用だがホビーユースも狙う
予約注文の約3割がハイグレードモデルのCOOL・FUNだ。このグレードは「あくまで仕事用」(N-VAN開発責任者の古館茂氏)としたうえで、若い人が楽しみながら働けるようなモデルを目指した。加えて意識しているのが、一般ユーザーのホビーユースだ。高い天井と広い車内空間が強みとあって、車中泊向けのニーズは高そうだ。
ホンダの用品メーカーであるホンダアクセスも、車中泊グッズやアウトドア向け商品の使い方を提案する。車中泊での利用も想定して、電源を外部から取り込む装備のオプションも設けた。担当者は「N-VANについては、用品の注文が計画の倍くらい入っている」と明かす。
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