札幌を旅したい人に教えたい最新カフェ事情 モーニングのスパゲティからシメパフェまで
喫茶店やコーヒーについては興味深い統計がある。総務省の「家計調査」として知られる「1世帯当たりの喫茶店代」の支出金額(2015~2017年の平均。都道府県庁所在地・政令指定都市別)では下位(42位)に沈む札幌市だが、同じ調査での「コーヒー購入量」では9位。2009年から2014年までの同調査では2位や3位だった。
札幌はカフェの名店も多いが、コーヒーを持ち帰って飲む文化が盛んといえよう。
和田氏によれば、札幌の自家焙煎コーヒーの先達は、1971年開業の「可否茶館」(かひさかん)だという。元オーナーの滝沢信夫氏が土台を築き2001年に引退。現在は別の会社が引き継ぎ、札幌市内に10店を構えるチェーン店となった。資料が残る国内最古の店「可否茶館」(東京・下谷西黒門町=現在の台東区上野。1888年開業、4年で閉店)にちなんだ店名に、開業時の気概がうかがえる。
一番人気は「スパゲティのモーニング」
「純喫茶オリンピア」は、観光名所として有名な旧北海道庁近くにある。1964年の開業で、店の名前は、前回の東京五輪の開催年にちなみ、初代オーナーがつけたという。
ビルの地下を降りて入り口ドアを開けると、豪華なシャンデリアやゆったりしたソファが出迎えてくれる。約70人が入れる広さだ。ちなみに、この店と同年に開業した東京のチェーン店は、当時「ロビー風喫茶」を掲げた。まだ利用者が限られていた「ホテルのロビーのような空間提供」という意味で、かつてはこうした店も多かった。オリンピアのソファに身を沈めると、そんな昭和の息吹がよみがえってくる。
開店時間の朝8時から10時までは「モーニングメニュー」がある。店の一番人気と聞き、以前から気になっていた「ミートスパゲティ」を頼んだ。酸味の利いたトマトソースもおいしく、麺の量もボリュームがある。ミニサラダと玉子サンドイッチも載り、コーヒーつきで550円。モーニングで有名な愛知県や岐阜県にあっても大人気となりそうだ。
すぐ隣には毎日新聞のビルもあるなど周辺はビジネス街で、昼間はランチをとるビジネスパーソンも多い。朝のひとときを過ごしながら書き物をする大学教員もいるという。多様な人の需要に応える老舗喫茶店は健在だ。
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