ハワイ火山噴火、科学者が「決死の調査」 科学者にとっては、またとない研究機会
USGSの火山学者デービッド・アレクサンダー・ジョンストン氏は1980年、米ワシントン州のセントヘレンズ山の噴火で亡くなった。また1991年には、米科学者のハリー・グリッケン氏とフランス人の同僚夫妻カティア・クラフト氏とモーリス・クラフト氏の3人が、日本の雲仙岳で調査中に、日本の消防関係者や報道関係者らと共に火砕流に巻き込まれて命を落とした。
カナダ国境に近いニューヨーク州北部にあるニューヨーク州立大学バッファロー校を卒業したボール氏は、キラウエア火山の噴火とナイアガラの滝を比較する。
「力とエネルギーにおいて同じような感じを受ける」と彼女は語った。
リスクの価値あり
1983年から断続的に噴火を続けているキラウエアは、世界でもっとも注意深く観測されている火山の1つだ。主に山頂にあるハワイ火山観測所から行われていたが、今は閉鎖されている。直近の噴火はキラウエア火山による最大規模の噴火の1つであり、科学者にとっては思わぬ幸運となる可能性がある。
ボール氏とUSGSのチームは、地殻から溶け出す溶岩であるマグマが、亀裂を作り溶岩を噴出する前に、山腹の東リフトゾーン下部の地下にある火道をいかに通り抜けているかを研究している。
ビッグアイランドと呼ばれるハワイ島のコミュニティーを今後起きる噴火からより安全に守るための前兆を見つけ出そうと努力していると、ボール氏は言う。
「亀裂8」は、キラウエア火山に22ある亀裂の1つ。これら亀裂から噴き出た溶岩により、1000棟以上の建物が破壊され、2000人が避難を余儀なくされた。こうした事態により、キラウエア火山の噴火はまれに見る噴火だ、とボール氏は指摘する。