ハワイ火山噴火、科学者が「決死の調査」 科学者にとっては、またとない研究機会
[パホア(米ハワイ州) 8日 ロイター] - 分厚いコットン地の服にヘルメット、ガスマスクを着用した地質学者のジェシカ・ボール氏は、夜間シフトで米ハワイ島キラウエア火山の「亀裂8」を観測していた。同火山の斜面から噴き出る溶岩は15階建ての建物に匹敵する高さだ。
溶岩は数キロ先の太平洋に続く水路に流出。住民がみな避難してゴーストタウンと化したレイラニ・エステーツの不気味なオレンジ色に染まった夜景の中で、溶岩はまるでボール氏に迫ってくるように見える。だがそれは、目の錯覚だと彼女は言う。
6─8時間のシフト交代制で観測
「キラウエア火山の活動は、自然の力に挑むとは、どんなことかをわれわれに思い知らせる」と、米地質調査所(USGS)の科学者であるボール氏は話す。
キラウエア火山が2カ月以上前に初めて噴火してから、科学者たちは現地で噴火活動を1日24時間、毎日観測している。USGSの職員やハワイ大学の研究者、そして訓練を受けたボランティアが、2つから5つのチームに分かれ、6─8時間のシフト交代制で働いている。
高熱で溶けてしまうため合成繊維の衣服は避け、鋭い火山岩やガラスから手を保護するためグローブを着用している。また、ヘルメットは降ってくる溶岩から、マスクは硫黄ガスから身を守ってくれる。
意気地なしにこの仕事は務まらない。地質学者は活火山の調査中に命を落とすこともある。