真面目に働くだけの人に遠い投資家の儲け方 会社員は農耕採集民族、投資家は狩猟民族だ
労働者への給与と投資家の利益は、反比例の関係です。会社と労働者は永久に利益相反関係から逃れることはできません。労働者はどれだけ頑張っても、稼げるおカネに限界があるのです。
ピケティが主張する「r>g」の本質
労働で得られる価値が希薄化してしまう3つ目の理由として、労働は自分の時間をかけることができないが、投資は福利効果やレバレッジをかけることができる点が挙げられます。これについては、フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏がその著書『21世紀の資本』でデータを基に論じています。
ピケティ氏は本書の中で、21世紀は富の格差が広がっていると主張しています。彼は世界20カ国以上の過去200年の税務データを収集・分析しました。その結果、r>g、つまり投資によるリターン(return)のほうが、労働による賃金の伸び率(growth)を上回っているとピケティ氏は述べているのです。
富裕層が財産を運用(投資に回す)することで労働者よりも圧倒的な利益を出せている理由ですが、僕は、この理由を「複利効果」と「レバレッジ」にあると考えています。労働には、複利効果というものはありません。働こうとすると、初任給という概念があり、基本的には、前の職場での実績や本人の身に付けたスキルが足し算され、あくまで「足し算」で給与が決まっていきます。
しかし、投資は「複利」です。1億円のリターンがあったとしたら、次の投資機会にその1億円をそのままつぎ込めば、1億円に対しての利回りが手に入ります。15%増をそのまま足し算していけば、5回繰り返せば75%アップですが、複利だったら2倍になります。足し算と違って複利効果は、積み重ねていくことで天文学的な差をもたらします。9兆円近くの資産を抱えるウォーレン・バフェット氏ですら、年間で増やしている資産は20〜25%程度なのです。
また、レバレッジのことをわかりやすく言うと「梃子(てこ)」の原理のようなものを示します。労働は、自分の力でやるものですが、投資は、資金を借り入れて投資することもできれば、出資者を募って、本来自分では到底できないような大きい案件に対してリスクを取ってプロジェクトを進めることもできます。
このように、複利効果やレバレッジ効果を考えていくと、投資で稼ぐ人と労働で稼ぐ人の格差は広がっていくばかりです。いくら働いてもおカネが稼げない、労働の価値が希薄化した時代に突入していくと、労働だけで稼ぐのは、なかなかハードな戦いになるかもしれません。
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