携帯型電池で法人市場を攻める「Omni」の正体 学校市場で成功した「意外なアイデア」とは?

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Omnichargeのジェイソン・ウォンCEOと店舗向け充電ステーション「PowerStation」(筆者撮影)

2016年、クラウドファンディングサービスのIndiegogoで「Omnicharge(万物を充電)」と名付けられたモバイルバッテリーの商品企画が、調達目標額の4259%となる354万4292ドル(当時の為替レートで約4億円)を集め大きな話題になった。”モバイルバッテリー”という、電子デバイスが普及した現代ではありふれた商品ジャンルだったが、あらゆる電源ニーズを満たすために設計されていた、ほかに例を見ない画期的な製品だったからだ。

【2018年7月10日22時15分追記】本記事初出時、調達目標額を「354万4292ドル(当時の為替レートで約4兆円)」と記載していましたが、正しくは「354万4292ドル(当時の為替レートで約4億円)」です。お詫びするとともに修正致します。

2017年に完成した製品「Omni 20」の出荷が開始されると、Omnichargeの企画をまねた商品がいくつも登場した。モバイルバッテリーはシンプルでまねしやすいと考えるだろうが、機能面や安全性、コンパクトにまとめたサイズ、Omni本体を充電しながら給電可能なパススルー充電など、その機能性を完全に模倣できている製品は2018年7月の現在でもまだない。

モバイルバッテリーのB2Bソリューション事業

しかし、彼らの事業展開は、単に高性能・高品質のモバイルバッテリーを開発、販売することだけではなかった。今年4月にシネックスインフォテックと代理店契約をすると、コンシューマー向けに従来の製品を販売するとともにB2Bソリューション事業を開始したのだ。では「モバイルバッテリーでのB2Bソリューション事業」とはどういうことなのか。

OmnichargeのファウンダーでCEOを務めるジェイソン・ウォン(Jason Wong)氏に話を聞くと、彼らが意外な方向へ事業展開していることがわかった。

まずはごく簡単に、モバイルバッテリーとしてのOmnichargeを紹介しておこう。

OmnichargeのオリジナルモデルであるOmni 20は、一般的なUSB Type-A端子への電源出力(QuickCharge 3.0対応、ポート当たり15ワット)はもちろん、120ボルトもしくは240ボルトで100ワット(0.1秒以内ならば瞬間的に150ワットまで)のAC出力を持つ。これだけでもほとんどの機器を充電可能だが、さらに1~24ボルトまでの間を0.1ボルト刻みで設定できるDC(直流)出力も備える。

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