外国人雇用の拡充は「無能な経営者」の甘えだ 生産性向上のチャンスを逃す「愚策」を許すな

拡大
縮小

このように国民の所得が低い理由のひとつとして、「企業の数が多過ぎる」という要因が挙げられます(詳しくは「大胆提言!日本企業は今の半分に減るべきだ」参照)。

国民所得が1.7倍増えるシナリオ

しかし私の分析によれば、人口が減れば減るほど、何もせずに放っておけば経済の自動調整機能が働き、企業統合が進んで正常な数に減るはずです。それに伴って、給与所得は2060年までに現在の1.7倍に上がるでしょう。

しかし、ある政策を実行すると、このシナリオが台なしになりかねません。そのある政策とは、移民の大量受け入れです。

今回は、なぜ移民政策が「給与を1.7倍に上げる」というすばしいシナリオを台なしにするのかを、解説していきたいと思います。

まず、何もしなければ日本経済に働くであろう、自動調整機能について説明しましょう。

日本では1975年から1995年までの20年間に、企業の数が約170万社増えました。しかし、増えた企業のうち約150万社は従業員10人未満の零細企業です(ペーパーカンパニーを除く)。

これがなぜ重要なのでしょうか。それは、企業の規模が小さければ小さいほど、生産性が低いのは明白な事実だからです。そして、企業の規模が小さければ小さいほど、その企業で働いている人の所得も低いという厳然たる事実も存在します。

現在、日本で従業員数10人未満の零細企業に勤めている労働者の数は1000万人弱です。

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