W杯で奮闘する宇佐美・原口を支えた男の胸中 ドイツクラブのフロントで活躍する瀬田元吾

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右から宇佐美貴史選手、瀬田元吾氏、若手の金城ジャスティン俊樹選手、原口元気選手(写真:フォルトゥナ・デュッセルドルフ)

戦前の予想を大きく覆し、見事グループリーグを突破し、決勝トーナメントへ進んだサッカー日本代表。

大会前は「年功序列ジャパン」と揶揄されたメンバーだが、日本代表の活躍はドイツでも好意的に報じられている。

日本人コンビの活躍は日本でもドイツでも話題になった(写真:フォルトゥナ・デュッセルドルフ)

その理由は、ドイツ・ブンデスリーガで現在プレーしている選手も7人(香川真司、長谷部誠、酒井高徳、武藤嘉紀、大迫勇也、宇佐美貴史、原口元気)いるだけでなく、過去にドイツでプレーした酒井宏樹、岡崎慎司、乾貴士、槙野智章、山口蛍らもおり、代表メンバー23人のうち過半数がブンデスリーガ経験者だからだ。

そんなブンデスリーガクラブのフロントで日本人として唯一働く瀬田元吾(せた・げんご)氏がいる。

彼の経歴は2005年1月に単身渡独。アマチュア6クラブを飛び込みでテストを受けて回り、2005-06シーズンからフォルトゥナ・サテライトチームに所属した。

その後、2006年ドイツW杯を現地で体感、ケルン体育大学大学院(専攻は高齢者スポーツ、1年で中退)を経て、2008-09シーズンより、フォルトゥナのフロントへ研修生として入り、2008年10月にフロント内に日本デスクを設立した。

現在は、宇佐美貴史、原口元気という2人の日本人選手を擁し、ブンデスリーグ2部で優勝したフォルトゥナ・デュッセルドルフのフロントで活躍している。長くドイツでサッカーに関わっている視点から、何故日本人が必要とされるのか? 昨季所属クラブで原口元気、宇佐美貴史を支え、ワールドカップ出場に至るまでの秘話も語ってもらった。

日本人がブンデスリーガで必要とされる理由

ドイツにおけるサッカー・ブンデスリーガは、1部、2部にそれぞれ18クラブで構成される。3部リーグ(ドリッテリーガ)には計20クラブあり、観客動員数では世界第1位のプロサッカーリーグである。昨季(リーグ終了時点)も1部に8人、2部6人の日本人選手が計14人所属し活躍をみせた。

ホームゲームでの試合風景(写真:フォルトゥナ・デュッセルドルフ)

その理由としてドイツのブンデスリーガには外国人枠がないということが1つの重要なポイントだ。逆にドイツ人枠というものが定められており、契約選手に12人のドイツ国籍選手を入れることが義務づけられている。

たとえば契約選手が全部で25人だったとすると、最大13人が日本人でも良いことになる。これは外国人枠を設定しているスペインなど他国リーグと比べると、日本人にとっては大きなアドバンテージとなっている。

そして、瀬田氏は日本人の国民性も大きく影響しているという。

「一般的にドイツはディシプリン(規律)を尊重する国であり、日本人にはその精神が備わっています。多くの外国人が流入している陸続きの欧州では、日本人の家庭や学校で当たり前のように教わってきた道徳的な振る舞いが(良い意味で)際立って見えます」

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