W杯で奮闘する宇佐美・原口を支えた男の胸中 ドイツクラブのフロントで活躍する瀬田元吾
日本代表クラスのトップ選手は、欧州のどのリーグでも活躍する能力を有していることは間違いないが、良いパフォーマンスはチームでのコミュニケーションや信頼といったものにも左右されるもの。
そういう意味でもドイツは日本人にとって、他の国々と比べて受け入れられやすい条件が少し多くあると言えるだろう。
瀬田氏は、フォルトゥナに在籍した計11年間で、過去に日本人選手と一緒にプレーしたという外国人選手と接する機会が多くあった。
その全てに共通するのは、「日本人選手は素晴らしいメンタリティを持っており、プロフェッショナルだ」というもの。悪く言われる選手が皆無であることは、いつも誇りに思うという。
宇佐美貴史が自信を取り戻す為の激闘と苦闘の日々
ロシアW杯でも日本代表の攻撃のキーマンとして活躍している原口元気と宇佐美貴史。だが、宇佐美は2017-18シーズン当初、所属クラブで思い通りにいかない日々に苦悶していた。当時の様子を瀬田氏はこう振り返る。
「安定した出場機会に恵まれない宇佐美選手は、トレーニングで苦しんでいました。自分のイメージに追いつかないパフォーマンスに苛立ちをにじませる姿を見ていたフリートヘルム・フンケル監督は、私を交えたミーティングを行い『コンディションを上げるには時間が掛かるものだ。焦らずにトレーニングからしっかりやって欲しい。後期には必ずもっとチャンスが来るようになるし、チームに不可欠な存在になるから』と信頼を伝えていました」
そしてその言葉はその数か月後に現実となる。2018年1月に原口元気が加入したというタイミングもあり、宇佐美が半年かけて続けてきたことや、冬からトライしていた食事の摂取方法を変えるという取り組みも効いて、コンディションが上がり始めた。シンクロするように出場機会が増え始めると、そこから4試合連続ゴールという結果を残すことになる。
監督が言っていたチームの中心として欠かせない選手になった宇佐美は、それまで本人の弱点と言われていたディフェンスでも大きな貢献を見せ始めた。
ときには50m以上を全速力で戻り、スライディングタックルを見せるなど精力的なプレーをみせるほどになった。
「本人はこういったプレーについて『ドイツではディフェンスの際に少し大袈裟ぐらいはっきりしたプレーをすることで、周りにも評価されるし、チームにも勇気を与えることが出来る』ということを言っていました。彼の4年間のドイツでのキャリアは、そういった経験と技術をもたらしてくれたのだと思います。
それを体現するように、体を投げ出してディフェンスすることで、チームメートだけでなく、スタジアム全体が一気に盛り上がる感覚がありました。ガンバ大阪時代を知る者で、試合後にチームの輪の中で最もユニフォームを汚しているのが宇佐美選手だと想像できる人はほとんどいないのではないでしょうか」
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