平壌でビッグマックを買えるのは、まだ先だ 外資泣かせ、また失敗を繰り返すのか

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2010年、韓国海軍の哨戒艦「天安」が国境近い水域で沈没した事件を受けて、サムスンはコンピューターソフトだけでなく、テレビなどの家電製品や衣料品製造など、北朝鮮でのビジネスをすべて断ち切ってしまった。韓国政府はこの沈没事件について北朝鮮の攻撃によるものだと非難したが、北朝鮮側は否認している。

政治とは何の関係もない障害もあった。

1999年から2004年にかけて、韓国のテレビ部品メーカーは、サムスンやLG電子<066570.KS>に納入する部品を人件費の安い平壌で製造していた。

汚職事件に絡んで解雇され、製造が中断

韓国の電子部品メーカー側の代表を務めていたビジネスマンのPark Byung-chan氏によれば、北朝鮮側のパートナーが汚職事件に絡んで解雇されてしまい、製造が中断したという。

それ以前にも、輸送コストの高さに悩まされていたという。朝鮮半島の西岸には輸送ルートが1本しかなかったからだ。

「われわれ自身ではどうすることもできない、多面的なリスクがあった」とPark氏はロイターに語った。

ロイターが閲覧した米中央情報局(CIA)の公開文書には、2004から2011年までの期間に、オーストリアとのピアノ製造事業、韓国からの投資による平壌での鶏肉やビールの合弁事業、衣料品工場など、北朝鮮との合弁事業が350件以上も記載されている。このうち約4分の3は中国パートナーとの合弁事業だった。

だが、昨年9月に北朝鮮が9回目の核実験を強行したことで、国連安全保障理事会が同国とのすべての合弁事業を禁止した時点では、すでに大半の合弁事業が閉鎖に追い込まれていた。

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