平壌でビッグマックを買えるのは、まだ先だ 外資泣かせ、また失敗を繰り返すのか
このうち最も著名な事業だったのは、エジプトの通信会社オラスコム・テレコム(現グローバル・テレコム<GTHE.CA>)と朝鮮逓信公社との合弁会社「高麗リンク」だ。
オラスコムは2015年、保有していた高麗リンクの株式75%について「支配権を失った」と公式に表明した。ロイターが閲覧した申告書によれば、高麗リンクのモバイルネットワーク事業は急速に成長したにもかかわらず、オラスコムは資金を平壌から本国に戻すために何年も苦労を重ねている。
これ以外にも、南北国境の北側にある開城(ケソン)共同工業地区では、北朝鮮による長距離ミサイルの発射を契機として2016年に閉鎖されるまで、韓国企業120社が操業していた。
ビッグマック登場はまだ先か
新たに開放される市場では、消費者向け大手企業のあいだで「一番乗り競争」が生じることが多い。
1990年に米国の外食チェーンとして最初にロシア進出を果たしたのはハンバーガーショップ最大手のマクドナルドで、1987年に西側の食品関連企業として最初に中国に進出したのはケンタッキーフライドチキン(KFC)だった。
だが1988年に出店したマクドナルドの韓国1号店で店長を務めたCho Nam-chan氏は、道路事情が悪くサプライチェーンが未整備であるため、マクドナルドが北朝鮮で1号店を出すのは簡単ではないと語る。
「マクドナルドは進出先の市場で利益を上げなければならず、政治的にも安定していることを確かめなければならない。パテなどの現地供給が安定していること、原材料の冷蔵システム、運営全般に必要な十分な電力も条件になる」とCho氏は指摘する。
北朝鮮進出の展望について、マクドナルドに問い合わせたが回答は得られなかった。「北朝鮮は議題に上っていない」という同社最高経営責任者(CEO)の最近のコメントを紹介されただけだった。
前述したソウルでのカンファレンスを共催したコンサルタント会社サムジョンKPMGは参加者に対し、より魅力的なのは新規の鉄道建設などインフラ関連プロジェクトであり、低開発国の支援を目的とした国際機関や各国政府によるコンソーシアムからプロジェクト資金を得られる可能性もある、と語った。