平壌の一等地で「ビル建設が中断」の異常事態 政治的に重要な金日成広場の近くなのに…
グリーン氏は次のように説明する。「北朝鮮では一部の建設プロジェクトについては国が資金の全面支援を行っているが、ほとんどの場合はそうでない。代わりに官庁か大企業の関連会社が国から建築許可をもらうかたちでプロジェクトを進めている」。
彼は続けて次のように述べる。「しかしプロジェクトを完了させるには建築材料と資金を調達する必要がある。これらのものは多くの人が知っているように北朝鮮の国内からは出てこない」「プロジェクトには保険を付けるという選択肢もない。そのため、もしプロジェクトを運営している企業が資金難に陥ったとすれば、すべてがその時点でストップする。特に中国と提携しているプロジェクトに関してはそうだ。ちなみにこうしたプロジェクトの多くが中国企業との提携によるものだ」。
地上2階分のフロアが商業用スペースとなる予定
金日成広場から最も近いビルの完成予想図詳細を見るかぎり、ビル完成時には地上2階分のフロアが商業用スペースとなる予定のようだ。
この計画図によると、各マンションには3世代同居に対応できるスペース(祖父母の部屋、夫婦の部屋、子どもの部屋)が備わっている。
2016年9月にNK PROが建設について現地で取材を行った際、北朝鮮専門家であるアンドレイ・ランコフ氏は、この2つのビルに入る新築マンションの価格は、すべて10万米ドルに上ると推定していた。ランコフ氏の分析によると、このマンションの一部は高級官僚、アーティスト、突撃隊、科学者といったある程度名高い職に就く人たちに無償で与えられるという。「しかし、ほとんどは実際に住むわけではなく、高値で入札するバイヤーに売却されるだろう」。
(文:チャド・オキャロル)
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